トルマリンの基礎知識
トルマリンについて
トルマリンの名前の由来はスリランカの言葉で「黄色い見知らぬ石」を意味する「Turamali」からきていて、もともとイエロージルコンの呼び名であったものが混同されたのではないかといわれています。
和名で「電気石」というように、この石に熱や圧力を加えると電気を帯び、大気中のチリなどを吸い寄せます。
天然永久電池とも言われていますが、話題になった電磁波遮断やマイナスイオン効果などについては確かではないとされています。
宝石としては、『無い色は無い』といわれるぐらいカラーバリエーションが豊富で、石によってはダイヤモンドよりも高い価値を誇る『パライバトルマリン』と呼ばれる大変稀少な石まで存在します。
種類と価値について
- パライバトルマリン
1ctあたりの値段が、トルマリンどころか全ての色石の中でも高いのではとされている大変稀少なトルマリンです。1989年に偶然発見されたという歴史の浅い石ですが、蛍光性のある独特のネオンブルーが印象強いため市場に出回るやいなや、たちまち人気を博しました。需要に供給が追いつかず、一時は幻の宝石ともされたほどです。
パライバというのは最初に産出された地名で、パライバ州もしくはブラジルから産出されたもののみがパライバトルマリンと呼ばれていましたが、2006年5月1日より社団法人日本ジュエリー協会によって「銅イオンによりブルー~グリーンを呈するトルマリン」のことをパライバトルマリンと呼ぶことが定義付けられました。現在、パライバ州ではほとんど取れず、近年新しく発見されるようになったアフリカのナイジェリアやモザンビーク産などは色の薄いものが多く、なかなか極上のものには出会えないのが現状です。
そのため今後も高騰が予想されています。
- インディコライト
パライバトルマリンに次いで評価されるのが落ち着きのあるインディコライトトルマリン。若干緑がかった深いブルーが美しい石です。
緑味の強いものもありますが、青色が強いほど良いとされています。
- ルベライト
ルビーと同じようにラテン語で赤を意味する『ルベウス』からきています。
ルビーの代用品として使われるほど真っ赤なものもありますが、ややピンク味が強いもののほうが多い石です。
やはりルビーに近い印象を受ける赤色ほど価値は上がります。
目の覚めるような鮮やかな色味が特徴です。
- ピンクトルマリン
ルベライトよりも薄いピンク色のトルマリンです。
ルベライトとの厳密な定義がないため、混同されるほど強い赤ピンクのものから茶色がかった薄いピンクなど色相に幅があります。
ホットピンクといわれるピンクダイヤモンドに近い色味のものが高く評価され、逆にブラウンがかってくると価値は下がります。
- グリーントルマリン
黄緑色の入った鮮やかなグリーンから、青味の入ったもの、真緑から濃いグリーンなど、同じ緑色でもこちらも色相に幅があります。
エメラルドのように大変綺麗な色味をしているものもありますが、生産量が多いためあまり価値は上がらないようです。
- トルマリンキャッツアイ
シャトヤンシー効果(キャッツ効果)のあらわれるトルマリンです。
一般的に、グリーントルマリンのキャッツアイが多く見られますが、ピンクトルマリンや写真のようなバイカラーなど、トルマリンならではの色の豊富さが楽しめます。
- バイカラートルマリン
2色含まれた状態でカットされたトルマリンです。
3色以上含まれる場合はパーティカラートルマリン、もしくはパーティカラードトルマリンといいます。
色が豊富なトルマリンだけに様々な色の組み合わせがありますが、一般的には緑・赤の組み合わせが多いようです。
- ウォーターメロン
トルマリン
ウォーターメロンとは「スイカ」の意味。
まさにスイカのように淵が緑で中が赤色です。
バイカラーやパーティカラーとの違いはカットの仕方で、写真のように輪切りされています。
その他にもアレキサンドライトのようなカラーチェンジタイプや以下のものなど、本当に多彩な色味を持つ石です。
- 無色:アクロアイト
- 黄色~茶褐色:ドラバイト
- 黄色~ライムグリーン:カナリートルマリン
- 鮮やかな緑(クロム入り):クロムトルマリン
- 黒:ショールトルマリン
- 3色以上の入ったトルマリン:パーティカラートルマリン
パライバトルマリンについて
蛍光塗料を塗ったような独特の発光が美しいパライバトルマリン。 世界的に高い評価を受けながらも、生産量が少なく安定していないため現在高騰の一途を辿るであろうといわれている大変稀少性の高い貴石です。
1989年にブラジルのパライバ州サンドンデ・パターリャ郡にあるナアルト・ダ・ボルボレス山脈内にある鉱山から偶然発見されたその石は、同年2月アメリカ・アリゾナ州のツーソンの町で開催された世界最大の宝石ショーに登場し、産地名に因んでパライバトルマリンという名で宝石業界の脚光を浴びました。 しかし、鉱脈が細いためなかなか大きい石が採れず、更には採掘権を巡る訴訟で10年近く本格的な採掘が出来なかったため、鉱脈は枯渇したのではという噂が飛び交い、この稀少なトルマリンの高騰に拍車をかけたといわれています。
そのため、現在ではルビー・サファイア・エメラルドなどといった有名な貴石をも凌ぐ高い評価を受け、極上物になると1ct以上の大きさで、1ct当たりの価格が500万円を超えてしまうことも珍しくないのです。
所変わって、アフリカのナイジェリアやモザンビークからも新たに同じ成分のトルマリンが発見されましたが、パライバ州という産出名がそのまま名前になってしまっていたため、パライバトルマリンと名称してよいものか定義が難しく、日本ではパライバ州もしくはブラジルから産出されたもののみがパライバトルマリンと呼ばれていました。 しかし国際的な影響により、2006年5月1日より社団法人日本ジュエリー協会によって、日本でも「銅イオンによりブルー~グリーンを呈するトルマリン」のことをパライバトルマリンと呼ぶことが定義付けられました。
産出状況ですが、ナイジェリアでは2005年には産出されない状況に。 パライバ州でも採掘はされていますがほとんど採れない状況で、以前のような一級品はごく僅かといわれています。