ダイヤモンドの基礎知識

ダイヤモンドについて

ギリシャ語で『アマダス(征服しがたい)』を語源とするダイヤモンド。
宝石の中で最も知名度が高く、特別な地位を誇るのには以下のような理由があります。

稀少性

ダイヤモンドはキンバーライトといわれる母岩から産出されますが、原石からの得られる率は2000分の1といわれています。
つまり、1ct(0.2g)のダイヤモンドを得るためには4トンもの母岩が必要なのです。
更に宝飾用として使用できる原石はその1ct中の20~5%程度といわれいるため、実際には4トンの母岩から僅か0.2~0.05ctしか得られることが出来ないというわけです。
そしてそれ以外の内包物の多いあまり美しくないダイヤモンドは工業用として用いられます。

耐久性と美しさ

ダイヤモンドは世に存在する物質の中でも最も高いモース硬度を誇り、『ダイヤモンドを削るにはダイヤモンドで』と言われるほど摩擦や引っ掻きに対する傷には強い石です。(ただし、割れや欠けに対する抵抗力(靭性)は水晶と同じ7.5と最高ではないため、ハンマーなどで砕ける場合があるようです。)
硬度が高いからこそ行えるスム-ズなカットや天然の無色透明石の中では最高の値をもっている屈折率・分散率共のおかげで大変美しく輝きます。
更に薬品や光線などによる変化に対しても強く、太陽の光に長年さらされても変化は起きません。

流通の安定性

他の宝石とは異なり、ダイヤモンドの市場性・価格・品質・供給量などは極めて安定的で、国際的に標準化されています。
それは、以下に説明します『4C』という指標によって価値・価格が国際的に定められているということ。
デビアスグループの販売会社である『ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー(DTC)』によって供給が保たれていることが大きな要因となっています。DTCとは世界最大のダイヤモンド供給会社で、多くのダイヤモンド鉱山を買い取り、所有することによって大多数のダイヤモンドを1か所に集め、需要と供給を調整することにより、安定した価格調整を可能にしています。つまり、ダイヤモンドが多く採れ過ぎたとしても一定の供給を保つことによって、価格の大きな変動を抑えることができるのです。

評価の基準"4C"について

まず、婚約指輪など大きめなダイヤモンドを購入する際には必ず耳にする 『4C』 という言葉。
品質を知るための指標としてGIA(アメリカ宝石学協会)が考案したもので、ダイヤモンドのみに定められています。
4Cについては以下の通りです。

  • カラット(Carat):重量
  • カラー(Color):色
  • クラリティ(Clarity):透明感
  • カット(Cut):研磨

カラット(Carat)

これはダイヤモンドの重さを表す単位で、 『1ct=0.2グラム』 となります。
もちろんカラットは、大きければ大きいほど価値もお値段も高くなります。

標準カットのダイヤモンドの直径の値。

  • 0.06ct=2.58mm
  • 0.25ct=4.10mm
  • 0.50ct=5.15mm
  • 0.75ct=5.90mm
  • 1.00ct=6.50mm

カラー(Color)

通常のダイヤモンドはごく僅かに緑がかった黄色をしていることが多いため、カラーグレードではこの微妙な色合いを比較をしています。無色に近いものほど希少価値があります。

1番左のDカラーが最高レベルで、右にいくにつれて価値が下がっていきます。

A・B・Cが無く、Dが最高レベルになっているのは、D以上のものが産出される可能性があるからともされています。その他にも天然の極めて美しい色を持つダイヤモンドがあり、それらは総称して『ファンシーダイヤモンド』と呼ばれています。ブルー、ピンク、グリーン、など様々な色があり、非常に稀少性の高いものです。

ファンシー(Fancy)カラー以外では、人工的に色を付けたトリートメントダイヤモンドがあります。あまり色味の良くないダイヤモンドに行われることが多いので、価値的には通常のダイヤモンドより若干低く見られがちですが、中には色味を楽しむために良いダイヤモンドに着色を施した『アップルグリーンダイヤモンド』や、『アイスブルーダイヤモンド』などがあり、これらには人気があります。

クラリティ(Clarity)

ダイヤモンドにも1つ1つ個性があり、傷やインクルージョンと呼ばれる内包物が存在します。
ルーペや肉眼でダイヤモンドを覗いた時に見られる黒い点や白いモヤモヤなどのことです。
これら内包物の有無や大きさから、ダイヤモンドの透明度、または透澄度を表したものがクラリティです。
傷や内包物の少ないものほど光を透過させ、抜群に輝きます。

1番左のフローレスが最高レベルで、右にいくにつれて価値が下がっていきます。

FL(フローレス)やIF(インターナリー・フローレス)は、市場にあまり出回ることの無いかなり希少価値の高い石です。
そのため、通常 VVS1クラスのダイヤモンドで最高級品と呼ばれます。
一般的には、SIクラス以上のダイヤモンドであれば輝きを損なうことなく楽しめます。

カット(Cut)

4Cの中で唯一人が関与する部分で、他の3つのCに重大な影響を及ぼすのがカットです。
もともとの原石の形状、カラーグレード、クラリティを検討しながら最大限のカットが施されるためです。
そして、ダイヤモンド特有の美しい煌めきは、高い屈折率と分散を生かしたバランスの良い正確なカットから生まれます。

ダイヤモンドが最も美しく輝くといわれる『ラウンドブリリアントカット』の場合のみ下の表のように五段階に評価されています。左側が最高レベルとされるエクセレントで、右にいくほど価値がさがります。

最高ランクとされるエクセレントの中でも、シンメトリー(対称性)に優れているものを『ハート&キューピッド』という別名が付きます。 特別なスコープを使って見ますと、8つのハートと矢が見えることからその名前がつきました。 鑑定書には右のような画像が付きます。
更には、プロポーション(全体のバランス)・シンメトリー(対称性)・ポリッシュ(磨きの良し悪し)という3項目全てがエクセレントという『トリプルエクセレント・ハート&キューピッド』というのが高く評価されています。

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