コンクパールはピンク貝を母体とする天然真珠で、「世界で一番希少な真珠」といわれるほど、大変希少な真珠です。どのくらい希少が高いのかというと10,000貝に1個でやっと出会えると言われています(研究者によって諸説あり)。
今回はそんな希少なコンクパールについてご紹介したいと思います。
1.産地
母体となるピンク貝が生息しているのは、バミューダ諸島からフロリダ州南部、西インド諸島、メキシコ湾を含むカリブ海全域に生息しています。
もともと現れる確率も少ない上に、入手が難しく、美しいコンクパールはほとんど採ることができなくなっており、宝飾品に使えるのは1/5ほどだそうです。
2.歴史
紀元1800年以前はピンク貝、真珠についての記録がほとんどありません。
ピンク貝が西欧に知られるようになったのは1800年を少し過ぎたころで、その目的は真珠ではなく、貝殻を使ってカメオを作ることと陶磁器を焼くのに使うためでした。また、カメオは1880年まで大流行し、ピンク貝は大変重宝されました。
真珠はむしろ、付属品のような形で知られるようになったと推測されます。
3.採取とワシントン条約
ピンク貝はカリブ海に住む人々にとって貴重な食料であり、太古の昔から食料として採取されていました。
20世紀に入るまで、ピンク貝の成長と現地人による採取は上手くバランスを取っており、ピンク貝の数に大きな影響はなかったようです。
20世紀中旬からピンク貝は新奇な食料として、アメリカへ輸出されるようになり、さらに近年では中華料理の素材として香港へ輸出されるようになるなどピンク貝の成長と消費の間に大きなアンバランスが生じるようになりました。
この為、現在では一部の地域で採取が厳禁とされ、一時はワシントン条約の対象にもなりましたが、本来は食料であるため規制の対象から外れることになりました。
しかし、今後も自主的な採取の禁止は拡大していくことと思われます。
4.特徴
色はピンク、または優しいオレンジ色をしているものが中心となります。コンクパールの美しさはサンゴをしのぐ天然の美しいピンク色ですが、その他にもコンクパールには表面に火焔模様と呼ばれる軽い遊色効果に似た美しい曲線模様が見えるものがあり、これがコンクパール最上のものと評価されます。
ですが、火焔模様は肉眼では判別出来ないものがほとんどで、その多くは顕微鏡で判断されることになります。肉眼でも模様が確認できるものに関しては更に希少性も高く高額で取引されます。
また、真珠の中では極めて硬いのも特徴です。しかし、穴をあける場合はその穴を中心に脆くなる為、穴をあけるには熟練の技術が必要となります。また、サイズ直しなどの再加工の際は真珠を外す際に十分な注意が必要です。
ちなみに通常のパールとの違いですが、通常のパールは炭酸カルシウムと外套膜から分泌される複合蛋白質との層状構造で形成されていますが、コンクパールは交差板構造をしています。
通常のパールにみられる虹色の光沢といった「オリエント効果」を見ることはできません。その代りに火焔模様が現れます。
養殖
ピンク貝の養殖は不可能とされてきましたが、2009年11月にGIAのG&G eBriefが養殖に成功したと発表しました。
技術開発したのはフロリダのアトランティック大学にある、ハーバーブランチ海洋研究所のエクトル・アコスタ・サーモン博士とミーガン・デイヴィス博士です。
貝核を入れる「有核真珠」、または外套膜を入れることで真珠を形成させる「無核真珠」、ともに成功させました。
ですが、今現在流通しているコンクパールはほとんど天然であるため、養殖が軌道に乗るのはまだ先と考えられます。
天然か養殖かの鑑別は肉眼では困難ですが、軟X線透過検査をすることで内部の核の大きさを確認することが可能です。
贋物
「クイーンコンクシェル」と呼ばれるコンクパールの母貝は通常、カメオやビーズに加工されます。
このシェルの色がコンクパールと同様、美しいピンク色であることからピンク色部分を上手く研磨してコンクパールに似せて作られた模造真珠が一部で流通しています。
母貝には火焔模様は現れませんが、コンクパール自体も肉眼では模様が見えないものがほとんどのため、一見、見分けのつかないものもありますので注意が必要です。