合成石とその作り方

皆さんは合成石という言葉を聞いたことはありますか?
今、世界中に様々な宝石が出回っていますが、その中には天然石以外のものも多く出回っています。
今回はその中の合成石についてご紹介したいと思います。

1.合成石とは

そもそも合成石とは何だろうと思っていらっしゃる方もいると思います。
合成石とは、天然石を科学的に分析し、全く同じ成分(化学組成や結晶構造)を人工的に生成した石のことです。
ある意味本物ですが、本物ではありません。ですが、全く同じ成分のため、ジェムテスターでは本物と同じ判定が出てしまいます。
今では合成ルビーや合成サファイア、合成エメラルドなど様々な宝石の合成石が作られています。
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2.合成石の作り方

ベルヌーイ法(火炎溶融法)

ルビーを合成するための装置を最初に開発したA.ベルヌーイの名前に由来します。この方法による合成は1800年代の後半から行われており、現在でも当時とあまり変わらない方法で作られています。また、合成石を作る方法の中では一番コスト面でも安価に作ることが可能です。
製造方法としては、原料粉末が落下する途中で酸・水素ガスによる高温の火炎(2050℃以上)を通過する時に溶融し、回転する支持棒上に滴下します。支持棒は結晶の成長速度に合わせて下方に引き下げられ、にんじん形の円筒状ブールの上端部に液滴が連続的に落下し冷却により層状に固化していきます。
ベルヌーイ法で作られる合成石はルビーや、様々な色のサファイア、カラーチェンジサファイア、スタールビー、スターサファイア、スピネルなどがあります。
本物とベルヌーイ法で作られた合成石の見分け方は、成長線のラインが本物であれば真っ直ぐなライン、合成であれば湾曲したラインが見られます。
また、微小な気泡群もこの合成石の特徴です。顕微鏡を使えば判別は可能になります。

チョコラルスキー法

1918年にこの装置を開発したJ.チョコラルスキーの名前に由来します。
製造方法としては、るつぼ中で粉末状の成分が高周波加熱されて融解し、
液化しています。種結晶を先端につけたロッドを降下させ液面に接触させ、ゆっくりと成長に合わせロッドを回転させながら引き上げていきます。
冷却により固化した結晶は直径が最大10㎝、長さ40㎝を超える対称性の高いロッド状結晶に成長します。
チョコラルスキー法で作られる合成石はアレキサンドライトやアレキサンドライトキャッツアイ、ルビー、様々な色のサファイアなどがあります。
本物との見分け方はベルヌーイ法と同じで、成長線の湾曲、気泡群などがあります。

水熱法

合成クォーツが初めて製造された1890年代初期に、イタリアのスペツィアにより開発されました。第二次世界大戦中および大戦後、エレクトロニクスや通信の分野で工業的に利用するため商業的生産が始められました。合成エメラルドの製造は1970年に市場に登場した合成アメシストと同じく1960年に始まりました。
全ての合成方法の中で、この方法が最も自然の鉱物の形成に似ています。
製造方法としては、鋼鉄製のオートクレーブ、またはボンベを用いて、高温かつ非常に高圧下の水溶液中で結晶を成長させます。
種結晶を内部に吊り下げ、栄養素は底部に入れておきます。栄養素が溶解して溶液となりボンベの上部に対流していき、種板結晶表面に析出し大型の結晶になります。
クォーツは長さ45㎝、幅15㎝の結晶が形成されますが、エメラルドの結晶は、長さが約3.8㎝から5㎝でずっと小さいです。
また、水熱法で作られた合成石のインクルージョンは天然石のものとよく似ています。しかし生産コストが非常に高く成長速度も遅く、更に爆発の危険性を伴う方法になります。
水熱法で作られる合成石はアメシストやシトリン、アメトリン、アクアマリン、エメラルドを含む様々なベリル、ルビー、様々な色のサファイアなどがあります。
本物との見分け方は成長が妨害されることで発生する釘状インクルージョンや液体インクルージョンなどがあります。

まとめ

近年ではクレサンベールのようにハイクオリティな合成石のジュエリーも増えてきており、価格の面でも本物の宝石に比べると安価で手に入れることが出来ます。
本物には手がなかなか出せないという方は一度合成石を見てみるのも良いかもしれません。

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