真珠について

前回コンクパールについてご紹介しましたが、今回は真珠についてご紹介したいと思います。
真珠は貝から採れる宝石の一種で、生体が作る鉱物であることから「生体鉱物(バイオミネラル)」とも呼ばれます。
自然界において自然発生するパールもありますが、市場に出回っているほとんどの真珠が養殖のものです。
当時は一つの真珠を見つけるために膨大な数の貝を開ける必要があったため、非常に高価で希少な宝石でした。

1.真珠の歴史

真珠の歴史は古く、日本においても日本書紀や古事記、万葉集にすでにその記述が見られます。また、中国の「魏志倭人伝」にも邪馬台国の台与が曹魏に真珠5,000個を贈ったことが記されています。
真珠は主に装飾品として用いられていましたが、砕いて化粧品や薬の原料、また顔料の素材として用いられていたこともあります。
また、あのクレオパトラもエメラルドが好きな印象が強いですが、とても大きな2つの真珠の耳飾りを両耳に着けていました。その真珠の大きさは当時世界最大とも言われるものでした。

2.真珠の種類

本真珠

模造品ではなく、貝の体内で形成されたパールのことを指します。

南洋真珠

南洋真珠とはシロチョウガイから採れる真珠のことで、主にオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーで養殖されています。
色は真珠を作り出す貝の色、つまり、金、銀、白、ピンク、クリームなど様々です。
シロチョウガイ自体が少ないことから、必然的に南洋真珠の希少性も高まり、今では黒真珠よりも高値が付きます。

黒真珠

黒真珠とはクロチョウガイから採れる真珠のことで、主にタヒチなど太平洋上の島々で養殖されています。
中国産の淡水パールや日本産のアコヤ真珠に比べると希少価値が高いですが、南洋真珠の比べるとやや劣ります。

マベ真珠

マベ真珠とはマベ貝から採れる真珠のことで、主に香港、台湾、インドネシア、奄美大島などで養殖されています。

淡水パール

淡水パールとは淡水に生息する貝が形成するパールのことで、イケチョウガイやカラス貝など、イシガイ科に属する貝が有名です。
主産地は中国で、人口養殖においても綺麗な球形を作ることが難しいため、米粒型やディアドロップ形など「バロックパール(球形以外のパール)」として扱われることが多いようです。

ケシパール

ケシパールとは、真珠養殖の過程で生まれた副産物の様なもので、核を持たない真珠のことを指します。
貝の体内に挿入された核を外套膜から取り除く工程に失敗してしまうと、極めて小さい小粒真珠が生まれますが、こうして生まれた真珠のことを「ケシ粒のように小さい」という意味からケシパールとよばれるようになりました。

3.真珠の生成

自然形成

真珠の自然形成過程は、まず貝の体内にある外套膜が細胞分裂して袋状になり、真珠袋を作ることから始まります。その中でカルシウムの結晶と有機質層が交互に積層し真珠特有の虹色を生み出し真珠が完成します。
層が薄ければ薄いほど、また、数が多ければ多いほど光沢の質が増します。
真珠の色合いは含有する有機質層の厚さや色素によって決まります。貝殻をもつ軟体動物は全て理論上真珠を生成することが出来ますが、光沢や球体が不十分だったりして、ほとんどの場合商品価値がありません。宝石学者たちはこうした真珠様のものを真珠とは認めておらず「石灰凝固」などと呼称します。
食用イガイ、食用カキ、時には食用カタツムリであるエスカルゴの体内からも発見されることがあります。

養殖

真珠の養殖方法は、真珠の中心部で接ぎ穂の役割を果たすビーズ様の玉を貝内部に移植するかしないか、接ぎ穂を外套膜内に入れるのか生殖器に入れるのか、接ぎ穂となる玉は球形なのかそれとも違う形なのか、淡水で養殖するのか海水で養殖するのか、など様々です。
海水で養殖される真珠貝としてはアコヤ貝、シロチョウガイ、クロチョウガイなどがあります。

一方、淡水で養殖される真珠貝としては中国のイシガイが代表的です。
天然の真珠と養殖の真珠はX線検査によって判別が可能です。天然の真珠をX線で見た場合、中心部には成長の痕跡を示す同心円状の成長線が見て取れます。

一方、養殖の真珠は接ぎ穂となる核を内部に挿入してから、およそ6か月後にその核を取り除くため、核のあった中心部が切れ目のない単一の影として見えます。

真贋

真珠のイミテーションも多く出回っています。中には本物だと思って購入したものが偽物だったという場合もあるのではないでしょうか。
一番簡単な方法としては真珠同士を優しくこすり合わせてみることです。本物の真珠はカルシウムがレンガ状に連なっているので凸凹した表面をしています。その為、こすり合わせた際にざらざらするようであれば本物です。ツルツルとしたのであればイミテーションの可能性が高くなります。

また、真珠の穴を見るのも一つの真贋ポイントです。ドリルを使って穴をあけるため、イミテーションの場合は熱で溶けたような穴になっています。それに対し本物の真珠はくっきりと綺麗な穴です。

1つ注意ですが、真珠同士をこすり合わせると傷がついてしまう場合もあります。くれぐれもご自身の判断でされてください。また、お店に売られている商品で試すことは禁物です。

4.お手入れ方法

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真珠は酸に非常に弱く、今の季節は汗が大敵です。また、水にも弱く長時間水に浸からせると光沢を失うこともあります。化粧品や柑橘類、ソースなどが付いた場合は水でさっと洗い、その後乾いた布でしっかりと拭きあげてください。

着用後も柔らかい布などで拭き、光の当たらない場所で保管してください。極端な乾燥、湿気にも弱いため注意が必要です。また、他の宝飾品と一緒に保管すると互いに触れ合い傷がつく恐れもありますのでなるべく別の場所で保管することをおすすめします。

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