金の展延性と文化に影響を与えた理由とは?

金と言う物質は、現在文明が発達した現在でも人々の中に特別な価値をもたらしています。

人々に特別な価値観をもたらしているのは金の不変性です。言い換えると永久性。

この永久性こそ金が古来よりあがめられる最大の理由となっています。

その金を人間が作ることを追及したのが錬金術(れんきんじゅつ)です。

これが現在の物理・化学の元となり、金の存在が文明の発達の原動力の1つとなりました。

1.金の展性・延性

金のやわらかさを専門用語でいうと、展性(てんせい)延性(えんせい)に優れているといいます。

延性とは

伸延の延で、よく引き延ばせるという意味です。

1gの純金を線に引き伸ばすと太さ5ミクロン(1mmの1000分の1,現在は5μmと表記しマイクロメーターと読みます)

人間の毛髪が60ミクロンといわれていますので、金がいかに細く引き伸ばせるかが分かります。

展性とは

展開という語の展で、一定の重さの金属がどれだけ広げられるか、薄い板状に出来るのかの性質です。

1gの純金を板状に広げると、4900c㎡ 畳約3分の1位の大きさに広げることが出来ます。

厚みが0.1ミクロン、これは1mmの1万分の1の厚さです。

2.金が使われてきた文化・文明

古来より現在まで人類の生活に携わってきた金。

文明とともに発展・発達して様々な分野で活躍しています。

古くから日本工芸品にも使われている金箔

展性の性質を利用して作られているのが金箔です。

金箔の品位は22金程度。

純金に銀と銅を1割程度混ぜてあり厚さは0.2ミクロンです。

金のような希少性の高い高価な金属が安価に使用できるのもこの展性のお陰です。

金閣もこの金の性質がなかったら実現しなかったでしょう。

他に日本では硯箱のように漆の世界に蒔絵などの工芸品にも使われ、仏像等にも使われています。

エジプト文明と黄金

エジプトといえばツタンカーメンの黄金マスクがもっとも有名です。
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このマスクは金の打出しの技術としてもとても優れたものでして、ブルーの線はラピスラズリの石が使われています。

この黄金のツタンカーメン王のミイラと共に棺に納められていますが、この棺も厚さ3mmの金に覆われていて90kgの金が使われています。

また、クレオパトラは黄金のベッドに寝ていたといわれています。

ツタンカーメンの棺の横の絵をみると、彼は木製の椅子に黄金を貼り座っていることがわかります。

このように、エジプト文明は黄金の文明としても有名です。

時代の最先端エレクトロニクス

金の性質を利用して作った、太さ25ミクロンのボンディング・ワイヤー。

このボンディング・ワイヤーは半導体の配線に使われるものです。

線の直径が25ミクロンで、これが現在金線の1番細いものになります。

また、純度は99.99%でして工業的には純金というと99.99%が要求されます。

これが普通の電気えい配線に使用されている銅線だと、いずれ線が腐食して、

配線が切れたり、電流が流れにくくなるなどトラブルがおこります。

金はこのように時代の最先端をいくエレクトロニクスにも使われているのです。

 

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