経済を知る~ヘリコプターマネー~とは

今回は経済のお話しをさせて頂きます。
金を取り扱う上で、経済情報や為替の流れも押さえておきたところです。
国内外の経済動向は為替に大きく関わります。
その為、数回に分けて最近よく耳にする経済に関する言葉を幾つかお話しさせて頂きたいと思います。
その中で今回は「ヘリコプターマネー」について紹介致します。

1.金の相場の決め方

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まずは金の相場の決め方です。
以前もお話しさせて頂きましたが、金の日本国内の相場は、田中貴金属が毎朝発表する相場となります。
金の世界相場は毎分毎秒と変動していますが、日本の場合変動する事はなく、1日固定されているのです。

国内相場を求めるには、「金国際価格÷31.1035×為替×1.08-40前後」の式が適応されます。
・金を表す単位は「グラム」ではなく、「OZ(トロイオンス)」となっており、1OZをグラムに換算すると31.1035gとなります。
・1.08は消費税(2016年現在)を意味します。
相場を出す為には、ドル高円安・ドル安・円高の為替情報は必要不可欠なのです。

2.ヘリコプターマネーとは

では、タイトルにあるヘリコプターマネーとは何かと言いますと、その名の通り、経済緩和の為にヘリコプターから現金をばら撒くように、中央銀行、あるいは政府が対価を取らずに大量の貨幣を国民に供給する政策を言います。
ばら撒く事に対する対価を取らないため、中央銀行、あるいは政府の債務だけが増え、その結果、中央銀行や貨幣に対する信用が失われることになりかねません。
ただ、現在日本は深刻なデフレの状態が続いているので、国民にお金を渡すことにより消費や投資が増え、デフレ脱却が期待されます。

3.デフレとはどういう状況か

では、現在日本はデフレであると言われていますが、デフレとはどういう状況かと言いますと、物価の価値が下がり、お金の価値が上がっている状態を言います。
例えると、1パック100円の牛乳が50円まで値下がりしている状態です。
モノが安く買える為、消費は進みますが、消費者はより安いものを求めるようになります。
そうすると企業は利益が出なくなり、従業者の賃金も下がり、結果消費自体が進まなくなる、「デフレスパイラル」という状態に今の日本は陥ってしまっているのです。

インフレとはどういう状況か

デフレと合わせて出てくるのがインフレですね。インフレとは物価の価値が上昇し、お金の価値が下がっている状態になります。
例えると、1パック100円の牛乳が200まで値上がりしている状態です。
そうなると企業には利益が出て、従業員の給料は上がり、家庭が潤い消費が進みます。
しかしモノの物価上昇が止まらず、1パック800円まで値上がりしてしまうと、消費者の財布の紐は堅くなり、消費が進まなくなる、「ハイパーインフレ」の状態に陥ってしまいます。

4.ヘリコプターマネーの起源

ヘリコプターマネーの起源は1969年まで遡ります。
アメリカの著名経済学者ミルトン・フリードマンが論文の中で、市民に紙幣をばら撒いたらどうなるのか、と議論を持ちかけたことが起源となります。

ヘリコプターマネーを実行したら

もし、ヘリコプターマネーを今の日本が行ったとしたら、一人当たり25~35万円配当すればインフレになると言われています。
そうすると日本円の価値は下がり、インフレリスクが高まります。

ヘリコプターマネーの財源

ヘリコプターマネーを実行するに当たり、どの様に資金源を用意するのでしょうか。
方法はいくつか挙げられていますが、中央銀行による国債引き受けが最も有力ではないでしょうか。
通常、国債は財務省によって発行され、まず証券会社やゆうちょ、保険会社、銀行等が買い、国債を買い取った各企業が、我々国民に売るというのが一般的な流れとなります。
ところが「引き受け」となると、新規発行の国債を、国と中央銀行が市場を介さずに直接取引することを意味します。
この中央銀行による国への資金供与(=財政ファイナンス)を進めると、政府支出に歯止めが効かなくなります。そしていつか中央銀行が国債を引き受け続けることをやめてしまうと、国は積み重なった借金を返済できず、財政破綻し、申告なインフレと金利高騰(=ハイパーインフレ)に陥る恐れがあります。
市場関係者の多くはデフレ脱却の為にヘリコプターマネーに対して期待を抱いていますが、実行され、最悪の事態に陥った時のことも頭の片隅に入れて置く必要があるかと思います。

ヘリコプターマネーは実行すべきか否か

このように深刻なデフレ脱却を解決するべく、ヘリコプターマネーを実行されることが期待されていますが、以上の事を踏まえて、本当にヘリコプターマネーを実行すべきか否か、賛否両論ありそうですね。

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