神話と宝石②

古くから人々に愛される宝石。
古今東西の神話にも登場し、印象深いエピソードが多数伝えられています。
第2回となる今回は、クレオパトラが愛したことで有名なエメラルドについてご紹介致します。
5月の誕生石であるエメラルドはとても古い歴史を持つ宝石の為、世界各地で様々な伝説や逸話が残されています。

1、エメラルドにまつわる伝説

はるか昔、コロンビアのムソー鉱山を支配していた女王フラとその夫テラ。
2人は平和な日々を過ごしていましたが、ある日、シスゴという男がやってきました。
金髪で青い目をしたシスゴは、豊かなムソーの地を手に入れようと女王フラに求愛しました。
この誘いを受けてしまった女王フラは、神ボルボㇽに罰として岩に変えられてしまいます。
気まぐれで犯してしまった不貞により岩に変えられてしまったフラ。
夫のテラはフラのことをそれでも愛おしく思い、自分も岩にしてフラの傍に置いて欲しいとボルボㇽにお願いしました。
自ら望んで岩になったテラの姿を見て、フラはテラの自分に対する愛の深さを知り涙しました。
その涙は岩を伝って流れ落ち、美しい緑の石となって土に埋まりました。
フラの悲しみや苦しみのこもった涙は地中深くまで達し、より深く綺麗な緑の石に変わりました。
これがエメラルド誕生の瞬間と言われております。
繊細で傷つきやすい人間の涙からできた為、脆くて壊れやすい宝石となったのかもしれませんね。
今でもムソー地区には2つの山の峰が並んでおり、原住民はそれをフラテラと呼んでいるそうです。

2、エメラルドにまつわる神話

はるか遠い昔、4大天使(ミカエル・ガブリエル・ラファエル・ウリエル)の1人とされる大天使ミカエル率いる天使軍と、堕天使ルシファー率いる悪魔軍との間で戦いがあったと云われています。
ルシファーは元々、神々から愛されていて天使たちの中でもトップクラスの大天使でした。
しかし、権威と力を与えられたが故に自分は神をも超えることができるという自惚れから神に反逆し、堕天使となってしまいます。
ミカエルとルシファーの戦いは、大天使ミカエルの炎の剣が堕天使ルシファーの冠からエメラルドを叩き落した時に勝敗がついたと云われております。
戦いに敗れたルシファーはサタンと呼ばれるようになり、冠にあったエメラルドは落ちた時に大地と衝突して砕け散りました。
現在でも無傷のエメラルドはないと云われる根源がここにあります。

冠から落ちたエメラルドは聖杯となり、これが後にイエス・キリストが最後の晩餐で使用した聖杯であるとも云われています
しかし、この聖杯が何でできているかは諸説あり、詳細は定かではありません。
瑪瑙や銀、ただの緑色の古代ガラスでできていたとの話も残されています。

まとめ

今回お話した説はどちらもエメラルドにまつわる逸話です。
エメラルドは愛の石とも言われており、その宝石言葉は夫婦愛や幸運とされています。
また、誠実の象徴とも言われております。
どちらの逸話からもエメラルドという石の歴史を感じますね。

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