経済を知る ~イギリスEU離脱編2~

~イギリスEU離脱編1~にて「EUについて」「イギリスのEU加盟までの歴史」をお話しさせて頂きました。

今回は第二弾として、イギリスEU離脱までの道のり、金価格への影響など、経済に与える影響のお話しに移ります。

 

1.イギリスがEU離脱を望んだ経緯

移民の受け入れ

EUには、加盟国の国籍を持った人であれば移民・難民関係なく、ビザは必要なく、自由にどの加盟国にでも住んで良いというルールがあります。

このルールが最終的には、貧しい国の国民達が裕福な国へと大移動をして来た遠因となりました。

 

納得のいかないEUの掟

EUの掟として、自国民以外の者でも差別することは許されません。

前提として、イギリスは福利厚生がとても充実しており、無料の病院や学校があります。その多くは自国民の税収で賄われています。

 

という事は、難民の人でも、イギリスに来ればその充実した福利厚生を受ける事も可能で、無料の病院や学校を利用する事も可能なのです。

acca77ee82505ae7c156151db24cea51_s

その為、加盟国の中の移民・難民が大量に流れてきました。

もちろん、彼らの福利厚生や病院・学校の利用にもイギリス国民の税金から負担されます。

更に、イギリスの企業は、人件費抑制を謳い他国の者を積極的に雇い、イギリス人自体の失業率もあがりました。

これでは国民が納得するはずがありませんね。

 

経済的格差

上記で述べているようにEU加盟国間では経済的格差が激しいです。

貧困で困っている国には、豊かな国が“補助金”という名目で資金を払い続けています。

 

豊かな国(イギリス含む)からすると、補助金という名目で、自国以外の国の為に自分達のお金を提供し、道路や施設が作られる事は納得いかない事でもあるのです。

 

 

2.残留派の意見

イギリスEU離脱編1にてお話しさせて頂きましたが、イギリスは過去に輸入超過による経営不振に陥っています。

残留派としては、EUを離脱することによって、また歴史が繰り返される事を恐れており、多くの金融の拠点がロンドンにあるイギリスとしては、EUに残留している方がビジネスがしやすいのです。

3.運命の国民投票

投票日当日まで残留派と離脱派で競り合いをしていましたが、ついに2016年6月23日、運命の投票日がやってきました。

 

結果は…

離脱派:1722万票 残留派1600万票

 

離脱派がわずかに残留派を上回り、EU離脱派が勝利しました。

 

離脱するのはいつになるのか

しかし、国民投票で離脱派が勝利したからと言って、イギリスがすぐにEUを離脱する訳ではありません。

イギリスはEUに離脱を発表し、そこから離脱交渉を始めます。

この話し合いの期間は2年間設けられていて、この間にEU国の全てが離脱を認めなければ、交渉決裂となり、さらに交渉期間が延長されます。

4.為替への影響から考える金への影響

ここからは、金への影響についてお話しさせて頂きます。

02c3ecbbcb8502bd530af1e33fa43b57_s
 

金と為替は相対関係にあります。

円安ドル高 ドルの価値が高い 金よりも、ドルを

持っている方が良い

金は買われない
円高ドル安 ドルの価値が安い ドルよりも、安全資産の金を

持っている方が良い

安全資産の金は

買われる

 

例えば上記の表のように、円安ドル高=ドルの価値が高いという事なので、金よりもドルを持っている方がいいので、ドルを買い求めます。

しかし、ドル安円高=ドルの価値が安いという事なので、安全資産の金を持っていた方がいいですよね。その為、金の値段が高騰します。

 

そして、米金相場を日本円にする際は、

米金相場÷31.1035(oz)×為替-諸々

の式が適応される為、為替が円安ドル高であれば、わずかながらに国内相場は上がる計算となります。しかし基準となる米金相場が暴落してしまえば、あまり意味はないですが…

 

上記の事を踏まえて、イギリス国民投票の結果で、金相場は

残留となれば下落 離脱となれば上昇

する事が予想されていました。

 

そして、EU離脱派が勝利したことにより、英ポンドは下落し、日本円が上昇し、安全資産とされる金が買われ始め、金相場にも買いが集中して、急騰しました。

 

 

投票日後の金相場を見てみると、、、

6/23(木) ¥4550/g
6/24(金) ¥4584/g +34
6/27(月) ¥4661/g +77

 

一気に金の値段が高騰しているのが分かります。

その後の7月も、イギリスのEU離脱派勝利も材料の一つとなり、金の相場は4800円台に乗ったりとかなり好調となりました。

そして、8月現在(2016年)は、4600円台に落ち着いているのですが、次は、 “米利上げ問題”が待ち受けています。これも、利上げされるとなれば、ドル高円安(=金は安くなる)となってしまいます。

イギリスのEU離脱問題もまだまだ続くので、これからも金の価格をも左右する世界の経済動向には目が離せませんね。

SNSでもご購読できます。