レッドベリルについて

皆さんはレッドベリルという宝石を知っていますか?別名レッドエメラルドとも呼ばれている宝石で、有名なエメラルドやアクアマリンも属する緑柱石の仲間にレッドベリルがあります。一見ルビーにも見えるレッドベリルですが、今回は魅力的な赤色が特徴のレッドベリルについてご紹介したと思います。

レッドベリルの発見

初めてレッドベリルが発見されたのは1905年、美しいトパーズの結晶で有名なアメリカユタ州のトーマス山脈です。そのトーマス山脈の流紋岩に含まれる半透明の小さな結晶がレッドベリルでした。
その後もユタ州の各地やニューメキシコのBlack山脈、メキシコのSan Luis Potosi等から報告されていますが、いずれも質・量共に標本程度の産出で、重要な産地とは言えませんでした。
しかし1958年、ユタ州トーマス山脈から南におよそ200㎞、ワーワー山(Wah Wah Mnts)の標高2100m地点にある、The Violet Claimsにてウラン探鉱をしていたホッジス一家によって宝石級の結晶が発見されました。
その後も採掘はされましたが、過去最大のルースでも7カラットの大きさで、かつ1カラットを超えるものは年に2,3個程度、大半が0.5カラット以下と小さいサイズになります。

名前の由来

レッドベリルには「ビスクバイト/Bixbite」という正式な鉱物名があります。ですが、一般的にこの名前では呼ばれません。
その理由としては、一文字違いの鉱物がすでに存在しており、かつその鉱物が採れる産地もレッドベリルと同じユタ州南部であるということです。
その鉱物の名前は「ビスクビアイト/Bixbyite」という鉱物で、ビスクバイトと綴りがほとんど一緒のため一見間違えてしまいそうになります。
ですが、もちろんこの2つの鉱物は全く別の鉱物です。

レッドベリルの価値

レッドベリルは芳醇な赤ワインを連想させるクリアで深い色合いが魅力な宝石で、採石されること自体が稀でかつ、その中でも宝石質のもののほとんどは1ct未満のものしかありません。
一時期、レッドベリルの価値に気付いた大手企業が採掘権を買い取り、大規模な調査の結果発掘を開始したことがありましたが、当初の予定通りの採石が出来ず採算が合わずに撤退した経緯もあります。
現在は大手企業から採掘権を買い戻したハリス一家が細々と採掘しているものの、すでに枯渇しているのではないかとも言われています。
現在流通しているものは以前に採石された石をカットしている状態です。
そのため、上質なレッドベリルは同じカラット数のダイヤモンドよりも非常に高値で取引されています。
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その他ベリル

冒頭でお伝えしたように、エメラルドとアクアマリンは有名ですが、他にもベリルに属する石をご紹介したいと思います。

・モルガナイト

ピンクベリルとも呼ばれています。名前の由来は宝石コレクターでもあったアメリカ人の銀行家、P・J・モルガンに因んで付けられました。
モルガナイトと同様のピンク色系の石にペツォッタイトがありますが、この宝石はセシウムを多く含むベリルの変種という位置づけで認定された新鉱物のため区別されています。

・ヘリオドール

アクアマリンと同様に鉄を含みますが、色は水色ではなく黄色をしています。この色の違いは三価の鉄であることによります。
最近ではイエローベリルと呼ばれ、更に黄色が濃いものはゴールデンベリルという名称で流通しています。

いかがでしたか?まだまだ流通量自体が少ないレッドベリルですが、一度はお目にかかりたい宝石の一つです。

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