現代では誰もが持っているお金。
そんな貨幣や紙幣はいつ頃、何のために作られたのか？
今回は金貨・銀貨などの貨幣の歴史についてお話したいと思います。
1、貨幣の歴史
貨幣の誕生
原始時代の人々は自ら狩りをしたり、果物を採ってきたりと自給自足の生活が当たり前でした。
やがて集団ができ生活が変化するにあたって、生産物を交換する物々交換のシステムができました。
しかし、人によって物の価値は全く違い、交換物の種類も増えていったため、どうしても物々交換では不都合な面が出てきました。
交流物の媒体となるものの存在が必要だったのです。
これが貨幣の始まりとされるものです。
貨幣の始まり
当時の貨幣商品は一つではなく、穀物や貝殻、家畜、刀剣などが利用されていました。
・穀物
農耕社会では誰もが知っていて、誰もが必要とするお米を貨幣商品にしました。
しかし、お米は重量があり、耐久性にも問題があった為、あまり流通することはありませんでした。
・貝殻
海辺に近い地方では貝を日常的に食しており、その貝殻に価値を付加していました。
軽量で耐久性もあるため、中国や南太平洋地域では貨幣商品としてよく用いられました。
・家畜
牧畜社会では、牛・豚・羊・鶏などに商品価値を求めたと言われていますが、あまり流通することはなかったようです。
・刀剣
刀剣は金属貨幣の基になったものと考えられていて、刀の柄の部分に飾りを付ける為に穴を開けていたことが、現在も穴あき貨幣として残っています。
このように時代や地域によって貨幣の価値は変化し、人々は貨幣として共通の条件を満たすものが必要であると判断しました。
・価値の尺度になるもの
・流通手段として現実的であるもの
・耐久性があり、富として蓄積できるもの
・価値を抽象的に表現できるもの
・地球上に素材が流通に足りるほどあるもの
これを基に考え出されたのが、上記すべての条件を満たす金属の貨幣です。
この金属貨幣の起源は紀元前700年ごろのオリエントと言われています。
金属貨幣の中でも、金・銀・銅は性質上最も優れた条件を満たしていました。
そして、美しい見た目とその希少性から金が最高に価値のある貨幣となりました。
実際には、金はそれ以前にも取引の媒介として使用されていましたが、一定の形状・重量を持つ鋳貨として作られたのは、この時代が初めてと言われています。
2、貨幣の流通
金貨の流通
西欧で金貨が比較的広く流通し始めたのは東ローマ帝国で、その勢力下の諸国にも浸透しました。
また、中世になると地中海貿易によってイタリアの各都市も金貨を使用するようになり、その中でも1252年のフローリン金貨は品質・デザイン共に良く、西欧各国の模範となりました。
ヨーロッパ中で金貨が作られるようになり、フローリン金貨はまさに近代貨幣史の幕開けを告げる金貨となったのです。
銀貨・銅貨の流通
ヨーロッパ中に広まった金貨ですが、実際問題、金はあまりにも希少であった為、銀及び銅による貨幣が主として流通するようになりました。
銀貨と銅貨は金貨の価値を基準に交換比率が定められていましたが、金の産出が少ないこともあり、19世紀頃までは銀貨が中心でした。
ちなみに金・銀の対比は中世までは1：13、近世では1.：15くらいでした。
しかし、金貨・銀貨いずれも権力者達による私的な鋳造が多く、重量・品位などバラバラでした。
取引の際に不便を感じた人々は、それぞれの貨幣に刻印を打ってこれを保証するようになりました。
これが本位貨幣と呼ばれるもので、17世紀のイギリスで初めて作られました。
金本位制
当時は金貨・銀貨両方を本位貨幣とした金銀複本位制でした。
金銀複本位制から金本位制になったのは、1816年イギリスの貨幣法からです。
イギリスはこの法律によって鋳造されたソブリン金貨のみを認めることになりました。
イギリスに続き、19世紀後期から西欧各国も金本位制を確立していきました。
これはこの時期、南アフリカを中心に世界各国で次々と金鉱が発見されたことにより、大量の金が出回っていたことと、貿易の中心であったイギリスの貨幣制度に合わせた方が取引などスムーズに進むと思われたからです。
1971年のニクソン・ショックによって金本位制が崩れた現在では、額面価値分の金を含有した本位金貨は発行されていません。
3、金貨の種類
一言で金貨と言ってもその数は何万～何十万種類あると言われています。
現在発行されている金貨は以下のいずれかに分類されます。
地金型金貨
含有する金の量で価格が変動するので、投資用の金貨とも言えます。
世界各国の造幣局が大量に発行し、世界中で流通しています
◇メイプルリーフ金貨・クルーガーランド金貨・イーグル金貨・ウイーン金貨など
収集型金貨
記念金貨とも呼ばれ、収集家や貨幣商の市場価格により価値が変動する金貨です。
流通量がはるかに少ない為、額面よりも高い価格で売買されます。
◇皇太子殿下ご成婚記念金貨・オリンピック記念金貨など