クリソベリルとは

今回はクリソベリルについてご紹介したいと思います。クリソベリルと言ってすぐに頭にどんな石なのか思い浮かぶ方は少ないのではないでしょうか。
実は有名なアレキサンドライトやクリソベリルキャッツアイもこのクリソベリルの変種になります。

クリソベリルについて

クリソベリルは基本的に黄色~黄緑色のものが多いですが、ごく稀に無色透明のものも産出されます。
黄緑色が美しいクリソベリルですが、明るい場所では光り輝く金色に見えるとこともまたの魅力の一つで、和名も「金緑石」と呼ばれています。
クリソベリルは主にベグマタイトと呼ばれる岩石や変成岩の中に結晶を作り、色も黄色~黄緑色以外に褐色や緑色のものも存在していす。
また、硬度が非常に高い鉱物で、その硬度は8.5です。世界一硬度の高いダイヤモンドの硬度は10、その次がルビーやサファイアが属するコランダムで硬度が9、それに次ぐ世界で3番目に硬い鉱物なのです。

歴史

クリソベリルは「金」を意味する「chris」と「緑柱石」を意味する「beryl」から付けられた名前です。
昔から富や豊穣をもたらす幸運の石として人々から大切にされてきたと言われています。
クリソベリルが最も脚光を浴びたのは、19世紀後半のヴィクトリア女王時代後期です。
イギリスが一番繁栄を極めた時代といわれ、当時の貴族や大衆の間でファッションリーダー的存在のヴィクトリア女王が身に着けた多くの宝飾品にクリソベリルが使われていました。
もっとも有名な話ですが、英国王室では結婚指輪に使用する宝石をクリソベリルと定め、長年にわたり大切にされていたそうです。

価値

クリソベリル自体宝石質のものが採石されることが少ないですが、その希少性に似合わず、比較的安価で取引されています。
しかし、ひとたびシャトヤンシーが見られるとその価値は格段に跳ね上がり、シャトヤンシーが見られない同等の石質のものと比べ100倍以上の価格差になることも珍しくありません。

クリソベリルキャッツアイ

先程、シャトヤンシー効果が見られるものは価値が一気に上がると書きましたが、このシャトヤンシー効果が表れるものをクリソベリルキャッツアイと言います。
シャトヤンシー効果とは宝石鉱物に微細な繊維状・針状・チューブ状の鉱物結晶が包有物として平行に並んでいるときに、針状包有物が伸びている方向が底面に平行になるようにカボションカットされると起こり、猫の目のように一条の光の筋が見える効果のことです。
この効果が表れる宝石は他にもベリルやトルマリン、アパタイトなど多数ありますが、最も美しいシャトヤンシーが見られるのはクリソベリルです。
一般的にキャッツアイと言えばクリソベリルキャッツアイを示すほど周知された名称となっています。
クリソベリルキャッツアイの中で最も人気が高いカラーが「ハニーカラー」です。
ハニーカラーとは濃密な蜂蜜色を指し、一般的に蜂蜜と言えば透明感のある黄色にオレンジ味が混ざったような色味を思い浮かべると思いますが、このハニーカラーは黄色に少し黄緑褐色が混ざり、深みがあり絹光沢を思わせるような質感のある色味を指します。
更にハニーカラーの中でも乳白色のシャトヤンシーがはっきりと濃く出るものは、その外見から「ミルクと蜂蜜効果」の出ている石と言われ、最高品質の証とされています。
ハニーカラーに次いで人気の高いカラーがアップルグリーンで、近年では明るい黄色のレモンイエローも人気が高くなっています。

アレキサンドライト

アレキサンドライトはクリソベリルの変種でカラーチェンジ効果のある石を指します。
カラーチェンジ効果とは太陽光と白熱灯など、光の波長の長さにより色が変化して見えることです。
名前の由来はこの鉱物が発見された日がロシア皇太子アレキサンドルⅡ世が成年式を迎えた日(12歳の誕生日)だったことから命名されたという説が有名です。
アレキサンドライトにもシャトヤンシーが見られるものがあり、アレキサンドライトキャッツアイと呼ばれています。
このアレキサンドライトキャッツアイは宝石質のアレキサンドライトを200石産出した時に1石あれば幸運と言われるほど大変珍しく希少な宝石です。
アレキサンドライト自体産出量の少ない宝石なので、良質なアレキサンドライトキャッツアイは更に高値で取引されています。

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