インディアンジュエリーについて

シルバーで作られたもの、ターコイズなどの石が施されたものが多いインディアンジュエリーですが、いつごろからどのようにして作られたのか、今回はインディアンジュエリーについてご紹介したいと思います。

1.インディアンジュエリーの誕生

北アメリカ大陸には「インディアン」と呼ばれる多数の部族が生活し、それぞれの文化を築いてきました。
アメリカ南西部にあるアリゾナ州とニューメキシコ州にまたがる広大な地域には大部族の「ナバホ族」と「ホピ族」などの小部族が生活していました。
16世紀ごろ、スペイン人による侵略が始まり、その後支配されインディアンはスペイン人とメキシコ人に文化的影響を受けました。
1800年半ば頃、スペイン人はインディアンに金属製の道具を与え、メキシコ人の銀細工師はナバホ族に銀細工の技法を伝授しました。
この技法はナバホ族からズニ族へズニ族からホピ族へと伝えられ、やがて部族ごとに特徴的なデザインや装飾、技法が創作されていきました。
ニューメキシコ州のサンタフェからミズーリ州インディペンデントまで続く街道では通商が盛んになり、インディアンジュエリーも交易品として盛んに取引されるようになりました。
また、鉄道網が発展し始めると更に広い地域まで交易が拡大し、観光客のお土産用として需要が拡大しました。
もちろん日本でもファッションアイテムとして幅広く定着しています。

2.それぞれの技法

ナバホ族

インディアンの中でインディアンジュエリーを作り始めたのはナバホ族が一番早く、初期のころは、単純にハンマーなどで叩いて加工したものや、カッティングしただけのものが多かったですが、ハンダ付けの技法を覚えてからは、シルバーの上にターコイズをセットすることが出来るようになりました。
その後、板状のシルバーに切り絵の様なデザインに切り抜いたシルバーを上から被せて作るオーバーレイという技法を得意としてからはシルバーの材料を複雑な形にカットして色々なデザインのジュエリーが作られました。

ズニ族

ズニ族が製作するインディアンジュエリーは、ニードルポイント技法、インレイ技法を使用したカラフルなデザインが特徴です。
ニードルポイントとは針の先という意味で、小さな石を留め金にはめて花びらが集まった形に組んで作られたものがこれにあたります。指輪やブレスレット、ネックレスなどがあります。
また、インレイとははめ込むという意味で、枠の中にターコイズなどの石をはめ込み、表面を磨き滑らかにしていきます。
中でも太陽の神様をモチーフにしているもので、珊瑚やジェットストーン、ターコイズといったマルチカラーの石をはめ込んで作り上げているものはとても有名です。

ホピ族

ホピ族はアメリカ最古のインディアンで、20世紀はじめ頃、ナバホ族からジュエリー作りの方法を教わってからはすぐに技術を発達させました。
ナバホ族同様、オーバーレイ技法で腕を上げオーバーレイと言えばホピ族と言われるまでになり、優れた技術を発揮しています。
特徴のあるオーバーレイ技法はインディアンジュエリーの中でも代表的技法となりました。

サントドミンゴ族

サントドミンゴ族はheishiと呼ばれる首飾りを製作することで知られています。
heishiとは小さくカットされたターコイズを糸に通して繋げたものや、カラフルな天然石や貝殻を混ぜて繋げたネックレスです。
滅多に銀は使用されず、伝統的なスタイルのものは留め金などを使ってないそうです。

イスレタ族

イスレタ族は歴史上ホピ族との関係性が強く、イスレタ族のジュエリーにもその影響が多くあります。
イスレタ族の製作するインディアンジュエリーは羽をモチーフにしたものが多く、その中でもベテランアーティストの「マイケル・カーク」のフェザーは人気が高く有名です。

3.インディアンジュエリーのホールマーク

普段私たちが目にしている金やプラチナのジュエリーにホールマークがあるように、インディアンジュエリーにもホールマークがあります。
インディアンジュエリーに刻まれるホールマークの多くが、製作者を示すホールマークが刻まれていますが、オールドのものには刻印はほとんどありません。
インディアンジュエリーにはシルバーが使われることが多いですが、通常のシルバーアクセサリーは銀の純度を表すSILVER925などの刻印が刻まれているのに対し、インディアンジュエリーはsterlingという刻印が刻まれることが多いです。
sterling silverとは、元々イギリスの銀貨を示す意味ですが、1870年頃からインディアンが銀貨を溶かしてジュエリーに使っていたことからsterlingという刻印が使用されるようになりました。

4.まとめ

いかがでしたか?普段何気なく目にしているインディアンジュエリーも実はそれぞれに歴史や技法があります。
もし目にする機会があればどのような技法のものなのか見てみるとまた違った良さが見えてくるかもしれません。

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