綺麗な緑色が特徴的なエメラルドと言えば四大宝石の中の一つですが、今回はそのエメラルドについて少しだけ深くお話ししたいと思います。是非、最後までご覧ください。
1.エメラルドの歴史
エメラルドという名前の由来は古代ギリシャの言葉「smaragdus」が由来で、古来より多くの人々から愛され、最も古いものでは紀元前4000年頃のバビロニアで、ネックレスなどの宝飾品に使われていたそうです。
また、古代エジプトではクレオパトラからも愛されていたことで有名です。クレオパトラはエメラルドの鉱山を持っていたとも言われています。
ちなみに、クレオパトラは美人ではなかったという説がありますが、目がエメラルドグリーンで美しかったという文献もあります。その為、クレオパトラは自分の目と同じ色のエメラルドを愛したという説もあるそうです。
2.エメラルドの色・産地
エメラルドはベリル(緑柱石)の一種で、結晶が形成される過程でクロムやバナジウムが加わることにより、美しい緑色になります。
産地はコロンビアが有名で、その他にザンビア、ブラジル、ジンバブエ、マダガスカルなども知られています。コロンビア産のエメラルドは世界シェアの70%で、最も質の高いものが産出されています(ですが、必ずしも全てのコロンビア産のエメラルドが高品質という訳ではありません)。
3.エメラルドの人工処理
ほとんどのエメラルドは人工的な処理が行われます。ではその人工処理とは何なのかをご説明したいと思います。
含浸処理(オイル処理)
傷を保護するために行う処理のことです。本来エメラルドは液体のインクルージョン(内包物)を多く含みます。なので、カットをした際に含まれていた液体が抜け、抜けた場所が白く目立つ傷になる為、この処理を行い、本来の状態に戻します。シーダーオイルというエメラルドと同じ屈折を持つオイルや、オプティコンという人工オイルが用いられます。
加熱処理
発色を良くするために行われます。エメラルドに限ったことではなくルビーやサファイヤもこの加熱処理は行われます。
4.エメラルドの選び方
まず、エメラルドにもダイヤモンドと同じ4Cがあります。カラー・カット・クラリティまではダイヤモンドと同じですが、ダイヤモンドでいうカラットがエメラルドではクリスタルとなります。
色石ではカラーが重視されますが、エメラルドはカラーとクリスタル(透明度)が同じくらい重要になっています。また、透明度と似ていますが、輝きのある物も良いエメラルドを選ぶ際のポイントになっています。
少し詳しく書くと、カラーは少し青味を帯び、ほんの少し黄色味を帯びた緑色がベストカラーと言われており、日本では青味を帯びた寒色が人気のようです。
クリスタル(透明度)は高いものほど評価は高くなります。日本では透明度の高いコロンビア産が人気です。
カットはエメラルドカットの他にもペアシェイプやオーバル、カボションなどがありますが、カットの厚みでも評価は変わります。
クラリティは裸眼で見て傷や内包物が目立たないものが良いです。基本エメラルドは傷や内包物が多い石ですので、内包物がなく、透明度の高いものは人工石の場合もあるので注意が必要です。
また、購入の際は傷や内包物の位置を確認しておくのも1つのポイントです。場合によっては石留めの際、簡単に欠けてしまう恐れがあります。
5.エメラルドの取り扱い
エメラルドは非常に割れやすい(傷の場所や大きさによって左右されやすい)為、洗浄の際に超音波洗浄の使用は避けたほうが良いです。また、含浸されたオイルが抜ける恐れもあります。
洗浄方法としては水と中性洗剤を使用し、やさしく洗うことをオススメします。
また、含浸処理をされているため、熱を持つ光源や、直射日光の当たる場所は避けてください。
6.コロンビア産エメラルドの特徴
他の産地のエメラルドとは違い、柔らかい美しい緑色がコロンビア産の特徴と言えます。コロンビアでエメラルドを産出した鉱山は約100箇所あり、なかでも有名な鉱山がチボー鉱山とムゾ鉱山です。それぞれの鉱山でエメラルドの特徴に違いがあり、チボー鉱山のエメラルドは青味の強い緑色で、内包物が少なく透明度も高いとされています。また、ムゾ鉱山のエメラルドは濃い緑色ながらも優しい色合いが特徴ですが、透明度が低く、傷が多いものが多いです。
7.有名なエメラルド
ムガール・エメラルド
世界最大のエメラルドの1つで、1965年に重さ217.80カラット、高さ約10㎝の四角い板状にカットされました。片側にイスラムの聖文、反対側には花が彫られています。このエメラルドは2001年、ロンドンのクリスチーのオークションにかけられ、220万ドルで落札されたそうです。
エメラルド・ダガ―ナイフ
片側の柄に大きなエメラルドが3つ埋め込まれており、3つの内、サイドの2つはペアシェイプにカットされ、尖った方が内側を向いています。
では最後に、エメラルドの中でも高価と言われるトラピッチェ・エメラルドについてお話して締めくくりたいと思います。
トラピッチェ・エメラルドとはバランスよく分域化された結晶で構成されたエメラルドです。名前の由来ですが、サトウキビを絞る農機具の歯車に似ていることからスペイン語のtrapichoにちなんで名付けられたとも言われています。19世紀後半もしくは20世紀前半にコロンビアで発見され、形状は亀の甲羅のようなタイプと花のようなタイプの2つに分かれます。収集家の中でとても人気が高いエメラルドになります。