以前、日本の金製品の純度と種類についてお話ししましたが、今回は世界に目を向けて、国によって違う金製品の純度とその法律について触れてみたいと思います。
1.海外の金製品主要純度
日本では、金製品と言うと18金(K18)が主流で、デザインや加工も施しやすい点から好まれています。
しかし、海外では国別に好まれる金製品の純度が違い、国によっては「金製品と呼べる最低純度」というものが法律で決められているところもあります。
海外の金製品主要純度と法律一覧
・日本・・・K18
・アメリカ・・・K18・K14・K10
法律上K10以下は金製品として販売できない
・メキシコ・・・K18・K14・K10・K8
法律上K8が金製品として販売できる最低純度
・ポルトガル・・・K19.2(純度80%)
法律上K19.2が金製品として最低必要な純度
・フランス、イタリア・・・K18
法律上K18が金製品として最低必要な純度
・イギリス、カナダ・・・K18・K14・K9
法律上K9が金製品として販売できる最低純度
・ドイツ・・・K18・K14・K8
法律上K8が金製品として販売できる最低純度
・中近東(UAE、サウジアラビア等)・・・K22・K21(純度88.5%)
・インド、パキスタン・東南アジア等・・・K22
・タイ・・・K23
・香港、中国・・・K22・K18・K14
K24(通称シナ金)と言われるものもあるが純度は低い99.0%
このように国によって金製品の主要純度が異なります。
ヨーロッパでは日本と同じようにK18が好まれる傾向にあり、K9以下は金製品としてみなされず刻印すら打たれません。
アジアでは純度が高い金製品が好まれる傾向にありますが、刻印と実際の純度が異なる金製品もあり注意が必要です。
2.海外の金製品重量単位
日本では金製品の重量単位はグラム(gram)を使用していますが、この単位も国によって違います。
アメリカやヨーロッパなどの欧米諸国はトロイオンス(Troy Ounce)とペニーウェイト(Penny Weight)です。
トロイオンス(oz)は約31.1035gで、ペニーウェイト(dwt)は1/20トロイオンスです。
国際的な金相場の市場では、グラムではなくトロイオンスが使われております。
ニューヨークやロンドンなどの金先物市場価格も1トロイオンスあたり何ドルと価格が表示されます。
また、インド・パキスタン・中近東あたりではトラ(Tola 約11.664g)、タイはバート(Baht 約15.16g)とサルン(Salung 1/4Baht)という単位が使われます。
ベトナムではチー(Chi 約3.75g)、中国・香港・台湾などの中華圏ではテール(Tael 約37.429g)、シンガポールやマレーシアあたりでは、経営者によってテールやトラを使い分けているようです。
オンスとトロイオンスの違い
オンスとはアメリカなどを中心に使用されているヤード・ポンド法の質量の単位です。
ヤード・ポンド法の質量の単位は「常用オンス・トロイオンス・薬用オンス」の3種類あります。
トロイオンスは貴金属や宝石の計量に用いられ、薬用オンスはその名の通り薬品の計量に用いられます。
通常、単に「オンス」と言った場合には常用オンスを指すことが多いです。
一般的に使われる常用オンスは正確には28.349 523 125gで約28.35gです
トロイオンスは正確には31.103 4768gで、日本の計量法では31.1035gとしています。
単位記号も様々ありますが、日本ではozのみを認めています。
日本は1g ○○円というように貴金属の価格をg単位で表示しますが、ニューヨークやロンドンでは、1トロイオンス○○ドルと表示します。
金の価値は世界共通と言われていますが、国によっては主要純度も単位も異なります。
海外旅行に行った際には、こういうところも気にしながらジュエリーを見ると面白いかもしれませんね。