今回のテーマはカメオの彫刻についてです。
カメオの彫刻と言えば、宝石に女性の横顔が立体的に彫刻されているブローチがポピュラーなデザインかと思います。
そんなカメオの彫刻の豆知識や、歴史背景についてお話しさせて頂きます。
カメオの彫刻とは
「カメオ」とは、宝石に凸型に浮き彫りしたもののことを言います。ラテン語のcammaeusが語源とされています。
ちなみに、凹型に沈み彫りにされているものは、「インタリオ」と呼ばれます。
カメオに使われる石は様々な種類があり、一番有名なものは「メノウ」となります。
メノウは天然石の中で唯一層を持つ石で、その独特の色のコントラストを利用して、カメオに彫刻が施されるようになりました。
このように宝石に彫刻されるカメオを、ストーン・カメオとも呼びます。
メノウについて
ここではメノウについて簡単に説明させて頂きます。
メノウとは、鉱物的には、水晶の変種となり、色や模様は多種多様に存在します。
メノウは、「セルカドニー」と呼ばれる、縞模様の無いタイプのものと、もう一つが「アゲート」と呼ばれる曲線状の縞目があり、複雑な模様をしているタイプの2種類があります。
カメオの全盛期はいつ?
カメオは19世紀の中期、全てのジュエリーの中で最も人気を博したとされています。
しかし、現代では、ダイヤモンドが最も人気があり、ジュエリーの頂点とされていますが、そのダイヤモンドが出回り始めたのが1880年代以降なので、それまではカメオがジュエリーの頂点であったと言っても過言では無いでしょう。
この18~19世紀頃にフランスで作られたカメオは、現代では「アンティーク・カメオ」と呼ばれています。
起源
宝石彫刻の起源はメソポタミアまで遡ります。今から約6000年も前の紀元前4000年ごろのエラムやシュメール文明の時代には既に高度な宝石彫刻がなされていたと言われています。
この宝石彫刻がカメオの起源であるとされています。
カメオが人気を博したのはナポレオンのおかげ?
カメオの彫刻の全盛期の19世紀半ばと言えば、ナポレオンの時代です。
ナポレオンはローマ帝国の崇拝者であり、イタリアへ遠征に行った際、カメオの彫刻の美しさに見惚れ、自国へ持ち帰った事でフランスの貴族階級者の間で爆発的な人気を博しました。
カメオの彫刻はこの頃の女性が身に着けるジュエリーの中で最も各上のものであったとされています。
カメオの彫刻で横顔が多い理由
18~19世紀に空前のブームを巻き起こしたカメオですが、何故、女性の横顔がモチーフにされたデザインが多いのでしょうか?
それは、当時カメオに主流だった「メノウ」に秘密があります。
1章でもお伝えしたように、メノウは天然石の中で唯一層のある石です。
立体的な彫刻を施す事によりメノウの層のコントラストを最大限に引きだすことが出来ます。
その為、正面の顔を彫刻するよりも、より立体感の出せる横顔の輪郭を表現するのに最も適しているとされたのです。
もちろん横顔以外にも、動物を始め風景や肖像画などのデザインもあります。
現代のカメオとアンティーク・カメオの違い1
アンティーク・カメオでも現代のカメオでも、横顔を彫刻しているデザインが主流であるという点は同じです。
では、何が違うのか結論から言うと、カメオに使われる「素材」と「手間」の違いになります。
現代のカメオとアンティーク・カメオの違い2
18~19世紀のカメオに使われている石は、メノウが主流とされていました。さらにブームだっただけに優秀な彫り師も多く存在していました。
現代では、より安価な値段作る為に、シェルを使った「シェル・カメオ」や、合成石でできたカメオが主流となっています。
現代のストーン・カメオ
現代で作られているストーン・カメオですが、100%機械で作ることが出来る訳ではありません。まずは、彫師にデザインを依頼し、そこから機械で彫って大量に生産させて行くのです。
他にも、現代のカメオは人工的に着色したものが多く、背景にブルーやレッドの鮮やかなものがよく見受けられます。
最近ではご自身のペットまでも彫刻する事が可能となっているようですね。
最後に
カメオにも様々な種類があり、アンティーク・カメオを好まれる方もいれば、比較的安価に手に入り、デザインも豊富な現代のカメオを好まれる方ももちろんいると思います。
何にせよ、皆様のお気に召された質感やデザインのカメオを持たれるのが一番ということですね。