世界の危険な鉱物たち

これまで様々な鉱物についてご紹介してきましたが、今回は少し変わった鉱物をご紹介したいと思います。

鉱物にも様々な種類がありますが、これまでご紹介してきた鉱物は宝石となる鉱物ばかりをご紹介してきました。
今回は鉱物の中でも最も危険な鉱物をご紹介したいと思います。

1.コロラドアイト

最近発見されたばかりのマグマの鉱脈で作られる結晶鉱物です。水銀がテルルという極めて毒性が強いレアメタルと結合してできます。

この二つの毒物の組み合わせは、扱いによっては危険な毒作用を示し、加熱されたり、化学変化を起こすと致死性の蒸気とチリが生じます。

2.胆礬(たんばん)

半透明で光沢のある魅惑的な青色をしており、その結晶は硫酸銅から出来ています。

硫酸銅鉱床に二次鉱物として産出され、吐剤や除虫剤などに用いられます。

池などに投じると藻類を全滅させることも可能で、生態系に大きな影響を与えます。

また、美しく希少性も高いため人工胆礬を生産する企業もあり、市場には贋物も出回り始めています。

3.ハッチンソナイト

タリウムと鉛、ヒ素を含んだ鉱物です。この鉱物から出る埃を吸い込んだり、少量でも体内に取り込むと死に至る恐れがあります。

このハッチンソナイトという名前はケンブリッジ大学の著名な鉱物学者ジョン・ハッチンソンに因んで名付けられました。

4.方鉛鉱

鉛を主成分とする硫化鉱物で最も重要な鉛の鉱石鉱物です。不自然なほど均整のとれた銀の光沢を持つキューブを形成します。

通常鉛は非常に柔らかいですが、硫黄成分のため非常に脆く、また、高い化学反応を有するようになりました。

その為、鉛塵の舞う炭鉱労働者は中毒の高リスクにさらされます。また、愛好家などもその取り扱いには注意が必要です。

5.石綿

石綿は天然のものですが、地球上で最も恐るべき鉱物の一つです。石綿と言ってすぐにどんなものか思い浮かぶ方は少ないと思いますが、アスベストと言えば少しピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一時期ニュースなどでも取り上げられたことのあるこの石綿(アスベスト)ですが、シリカ、鉄、ナトリウム、酸素で構成されており、人間の肺の中で機械的な破壊工作を行います。肺組織に傷を付け慢性的な炎症を引き起こすため癌の原因にもなります。

6.硫砒鉄鉱

硫砒鉄鉱はヒ素硫化鉄で、黄鉄鉱と同じ種類の鉱物ですが、それよりもヒ素が多く含まれます。

加熱したり、化学的処理を行うとヒ素の強いニンニク臭と共に、猛毒性、腐食性、発がん性のガスが発生する。

また、この表面には有害なヒ素化合物が付着していることもあるので、軽々しく触れてはいけません。

7.燐銅ウラン石

緑色をした厚板状の結晶で、花崗岩質岩石の二次鉱床として形成されます。リン、銅、水、そしてウランの複雑な反応で形成されるこの美しい結晶はとても魅力的な鉱物ですが、他のウラン雲母石の燐灰ウラン石などに比べ、ウランの量が多いため放射能はとても高いです。

美しい薔薇には棘があるように綺麗だからといって安易に触るのは危険です。

8.輝安鉱

アンチモンの主要鉱石で硫化アンチモンが結晶になったものです。アンチモンは錫や銅と混ぜることで鋳造や加工のしやすい合金が出来るのでかつては印刷の時に使う活字を作るために重要な鉱物でした。

また、この金属的な光沢を持つ結晶はかつて豪華な食器の飾りとして使われており、この鉱物が最悪の食中毒を起こすと知らずに食器を使用した人間を幾人も死に至らしめた恐ろしい鉱物です。

普通にコレクションする場合でも細心の注意が必要になります。触れた場合はすぐに手を洗ってください。

9.雄黄

硫化ヒ素を主成分とする鉱物で、別名石黄とも呼ばれています。雄黄は純度の高い物ほど黄色が鮮やかで、古くから顔料として使われていました。各地で産出されていましたが、毒性が強いため現在は顔料として使用されていません。

この危険性は江戸後期の読本「雨月物語」で蛇の化身を退治させるために雄黄を用意させる場面もあるほどです。

まとめ

いかがでしたか?綺麗な鉱物でも危険なものも数多くあります。コレクターの方は取り扱いには十分注意が必要です。

また今後も少し変わった鉱物などご紹介できたらと思います。

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