宝石の留め方(セッティング方法)

前回お話ししたリングに様々なデザインがあるように、宝石の留め方にも種類があるのをご存じでしょうか?
今回は、宝石の留め方(セッティング)についてお話したいと思います。

1.セッティング(石留め)とは?

セッティングとは宝石をリングやアームなどに留めることをいいます。
セッティング(石留め)は、宝石を留める役割を果たすだけでなく、その指輪のデザイン・個性を決める重要な要素なのです。
自分の好みや生活スタイルに合ったセッティングを選ぶことが大切です。

2.セッティングの種類

爪留め

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文字通り爪で留めます。
留めるにはジュエリー製作用のヤットコを使います。
石のガードル部分が見える留め方です。
代表的な中石(メイン・ストーン、センター・ストーン)の留め方をご紹介致します。

立爪

一粒の石を数本の爪で持ち上げ留めるセッティング方法のこと。
宝石を埋め込まないので光が入り、ダイヤモンドの本来の美しさを引き立たせるセッティング方法。

角爪、ききょう爪

どちらも現在ではあまり製作されていませんが、リフォームで見かけるものです。
エンゲージ・リングで過去によく用いられ小さめのダイヤモンドを地金枠で大きくみせる
効果をを狙ったものです。

鬼爪

肩がはった爪で石をしっかり留めます。
オーソドックスなデザインの色石に使われますが、メレーで取り巻くときは邪魔になります。

わし爪

鬼爪の肩を落として少しスマートになった形で、鬼爪と同じようにオーソドックスなデザインの色石やパールを留めるのに使われます。

けん爪

ヒスイやオパールを中心に比較的高価なカボション・カットの色石やパールに用いられています。爪の断面はやや三角の為「三角爪」とも呼ばれてます。

おがみ爪

バケット・カットのコーナーやマーキス・カットのような角が鋭くとがっている石に用いられます。とがった部分をつつむように留めるため、同時に石の保護も担います。

丸爪、玉爪

あまり目立たなく普通に使われる爪です。先が丸いので丸爪と呼ばれたり、ごく普通に使われるため「並爪」とも呼ばれています。

平爪・板爪

丸爪と同じように目立たない爪です。丸線を使い先を丸くして用いられます。
また、留まる面積が広いのでしっかり留まるところが長所です。
平爪よりさらに広いのが板爪です。

3.メレーの爪留め

1個石だけのジュエリーより豪華さをだすため、メレーは中石を中心に取り巻いたりサイドにそえたりしています。
また、ファッション用としてメレーだけのジュエリーも数多くあります。
メレーの爪留めは大きくわけて3つに分かれています。

線爪

線爪はラウンド以外にもテーパー、バケット、マーキースにも用いられる。

割爪

ラウンドの場合に用いられます。立爪を小さくした形です。

板爪

留まる面積が線爪より多いのでしっかり留まります。
その他マーキースにはおがみ爪が用いられたり、メレーの爪留めは爪が単体で用いられるだけでなく線爪と板爪といったように使われる場合もあります。

4.彫り留め

地金に穴をあけそこに石をはめ込み周囲の地金からたがねで爪を掘りおこして留める方法です。爪留め以上に熟練を要し、ほとんどラウンド・メレーに用いられます。

アワ留め(玉留め)、キラキラ留め

地金面にメレーを掘り留めします。
そして石と石の間の地金を、ミルたがねを使用してアワのように凸状(玉状)にしたものです。無数の輝いたアワはぱっと見てダイヤモンドと見分けがつきにくいので、少ない
さらにキラキラ留めといってアワ留めをアレンジした留めがあります。
石と石の間をダイヤモンドのカット面に似せた彫を入れるためさらに輝いて見えるというものです。

チョコ留め

円形に彫った中にラウンド・メレーを埋め込む留め方です。

マス留め

基盤状の四角いマスをたがねで切り、その中にラウンド・メレーを埋め込む留め方です。
五角形・六角形のマスの中に埋め込むものは「亀甲留め」と呼ばれ、マーキース形を切ってラウンド・メレーを埋め込むものは「レモン留め」と呼ばれます。

パヴェ

パヴェとはフランス語で「石畳」「敷石」という意味です。
リングに複数のメレダイヤモンド(小さなダイヤモンド)を「石畳」のようにたくさん敷き詰めたデザインです。
メレダイヤモンドが敷き詰められている為、輝きがあり華やかなデザインになります。

5.その他の留め

爪留め、彫り留め以外の留め方です。
たがねや接着剤を使用します。

エタニティ

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同じサイズ・同じカットの石を一列に重ねたデザインを『エタニティリング』。
リング全周にセッティングしたものは『フルエタニティ』。
半周にセッティングしたものは『ハーフエタニティ』と呼ばれています。

ふせ込み

宝石の周囲を一周ぐるりと地金で留めるかたちになります。
ふせ込みのセッティングは宝石が大きく見えるという特徴もあります。
服などにも引っかかりにくく、セッティングの中で一番シンプルな石の留め方かもしれません。

芯留め

パールや球状にカットされたサンゴや半貴石などの石を使わずに留めるもので、石に方穴をあけて芯を立てて留めます。
ほとんどが芯に接着剤をつけて留めてあるので日常に使うカジュアルな感じの物でもそのままお風呂やプールに入ったりすると接着剤が弱まり石がはずれるおそれがあります。

このように石やカットにあった様々な留め方があります。

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