海に眠る財宝!~商船編~

前回の記事で海賊とその財宝について記載しましたが、海に眠っている財宝は海賊船だけではありません。

ワインなどの食料品や、金貨などの財宝を運んでいた商船も数多く眠っています。

今回はそんな商船にスポットを当ててみたいと思います。

1.バスコ・ダ・ガマ艦隊の沈没船

歴史に詳しくない人でも「バスコ・ダ・ガマ」の名前くらいは聞いたことがあるはずです。

彼が指揮を執った艦隊の一隻「エスメラルダ号」と思われる沈没船が発見されたのは記憶に新しいです。

大航海時代

15世紀半ばから17世紀半ばまで続いた、ヨーロッパ諸国が海上の交易路を切り開くために、アメリカ大陸・アジア・アフリカなどに大規模な航海が行われた大航海時代。

そのきっかけをもたらしたのは、インドの香辛料市場でした。

当時、紅海を経由する香辛料の輸入ルートはエジプトの商人たちに支配されていました。

バスコ・ダ・ガマは、アフリカ大陸を回ってインド洋に入り、1498年にインドのカリカットへ上陸しました。

ちなみに同じ頃、西回りでインドを目指していたコロンブスは、インドに辿り着くことはできませんでしたが、1492年にアメリカ大陸を発見しています。

大航海時代最古の沈没船

今回発見された「エスメラルダ号」は、ポルトガルの伝説的探検家バスコ・ダ・ガマが2度目となるインド航海の際に指揮を執った艦隊の一隻です。

もし、この船が本当にバスコ・ダ・ガマの艦隊の一隻だとしたら、大航海時代の沈没船として発見されたものとしては最古の船になります。

回収された数千点の遺物の中には、インドとの交易の為に鋳造されたポルトガル硬貨(現存しているのは今回のを含めて2枚のみ)やガマの伯父であったビセンテ・ソドレの頭文字と思われるアルファベットが刻まれている砲弾などがありました。

現在分析などを行っていますが、エスメラルダ号でほぼ間違いないとのことです。

2.300年前の沈没船

2015年7月、約300年前に沈没したスペイン船団の沈没船が発見されました。

今回発見された沈没船からは、52枚の金貨や12メートルもの金の鎖、110枚の銀貨やボタンなど総額100万ドル相当の財宝が見つかりました。

沈没した11隻の船

11隻の沈没船はスペインの商船で、金銀などの財宝を新たに発見した植民地からヨーロッパへ輸送する船の護衛を行っていたようです。

しかし、1715年7月31日頃、スペインへ戻る途中だった船団はハリケーンに巻き込まれ沈没してしまいました。

長い年月が経ち、フロリダ沿岸では数多くの漂流物が発見されてきました。

そして、沈没した11隻の船のうち7隻は発見されましたが、残る4隻はいまだに発見に至らず行方不明です。

史上最も莫大な財宝を積んだ船

この船団は金貨や銀貨はもちろん、エメラルドや真珠などの宝石類、珍しい品々が数多く積まれていました。

積み荷を現在の価値にすると、少なくとも数億ドルに上るそうです。

発見されていない船の中に「サンミゲル号」があります。

このサンミゲル号はスペイン財宝船団の中で最速の船だったと考えられています。

ハリケーンに遭った日も他の船を引き離して1隻だけで快走していました。

海賊船より早いことが重要な当時の航海では、サンミゲル号のような高速船に一番貴重な財宝を多量に積むのがセオリーでした。

いまだ発見されていないサンミゲル号は、史上最も莫大な財産を積んだ船ではないかと考えられています。

しかし、残念ながらこの財宝がどこに沈んでいるのかは誰にもわからないのです・・・

3.史上最大級の価値を持つ財宝船

2015年12月、南米コロンビア沖で、18世紀に沈没したスペインの財宝船「サンホセ号」が発見されたと、コロンビア大統領が発表しました。

この船が積んでいた財宝は人類史上最大級の価値を持つ可能性があり、その所有権をめぐってコロンビア政府・スペイン政府・アメリカのサルベージ会社の三者で争っています。

 金を運ぶサンホセ号

当時スペインは、国王カルロス2世が後継者のいないまま亡くなったことで始まったスペイン継承戦争の真っ只中でした。

複雑な状況下にあった当時のヨーロッパ政治情勢において、スペインと英国は敵対関係でした。

そんな中、南米の植民地から金銀財宝を運んでいたサンホセ号は、英国艦隊の攻撃を受け、スペインへ戻ることなく、1708年6月、コロンビア沖に沈みました。

 発見した財宝は誰のもの

サンホセ号が発見される前からアメリカのSea Search Armada(通称SSA)は、コロンビア政府と分け前について話し合いをしてきました。

SSAは日本で言うところの「海難救助会社」です。

SSAは1981年、コロンビア政府に「多分この海域あたりにサンホセ号が沈んでいるので探索させてほしい」とお願いして探索し始めました。

元々は折半の約束だったが、実際にサンホセ号が発見されるとコロンビア政府は、SSAの取り分は5%に変更すると言ってきた為SSAは大激怒。

サンホセ号が発見されるとコロンビア大統領はすぐに声明を発表し、サンホセ号は自分達のものだとアピールしたのです。

もちろんSSA側も負けておらず、発見時の海中の映像をアップするなど存在感をアピールしています。

また、過去にはサンホセ号と同じように海で姿を消した艦船について、その所有権は旗を掲げていた国のものであるという判決が下されたこともあります。

そうなると、所有していたスペイン政府も黙ってはいないです。

 

これだけ価値のある巨額の富を目の前に、各国の欲望が露わになった今回の論争。

判断は法廷に委ねられることになりそうです。

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