黄金の国ジパングの秘密

学生時代、黄金の国ジパングについて習ったことがありますね。
本日は黄金の国ジパングについて歴史や、関係したその他の歴史を交えてお話しさせて頂きます。
学生時代の歴史の授業を思い出しながらご覧頂ければと思います。

1.黄金の国ジパングとは

時代は中世・近世ヨーロッパまで遡ります。
マルコ・ポーロという冒険家がアジア圏内を旅行した際、日本の事を「黄金の国ジパング」と手記の中で書き記していたのが由来となります。
彼の手記は、「東方見聞録」、別名「世界の記述」とも言われます。
では何故、彼は日本を黄金の国ジパングと呼んだのでしょうか。

マルコ・ポーロという人物

その前に、マルコ・ポーロという人物について紹介させて頂きます。
マルコはイタリアのヴェネツィア共和国の商人であり冒険家でもありました。
幼い頃から父と祖父に商取引を学び、17歳にして父と祖父とアジアに向け、旅へ出ました。
アジア各国を回る旅は24年間にも渡る大冒険でした。
膨大な富を得て帰国し、彼はその冒険の内容を記した「東方見聞録」を執筆します。
東方見聞録は当時のヨーロッパ地理学に衝撃を与え、それを元に「フラ・マウロの世界地図」(フラ・マウロ氏によって作られた円の形をした旧世界地図)が作成されました。
一方で、マルコの話す話は当時のヨーロッパの人々には奇想天外すぎて、シェークスピアの本の中では彼の名前が「おおほらふき」の比喩表現として登場した事もあったようです。

「ジパング」の語源

さて、マルコがアジア圏内を旅した際、実は日本には来日していなかったそうです。
実際は、中国にて日本の話を聞き、見聞録に記したとされています。
その為、ジパングという言葉は中国語で日本国を意味する、Cipanguが語源とされています。

なぜ「黄金の国」と呼ばれたのか

彼は手記の中で日本の事をこう記しています。
「ジパングはカタイ(中国大陸)の東の海上1500マイルに浮かぶ独立した島国である。
莫大な金を算出し、宮殿や民家は黄金で出来ているなど、財宝に溢れている。
人々は偶像崇拝者で外見がよく、礼儀正しいが、人肉を食べる習慣がある。」
日本にいる我々からしたら、えらくちんぷんかんぷんな事を言っているなぁ、と感じてしまいますね。
確かに当時の日本は金の産出量は豊富でした。東北地方に行けば砂金が採れていたそうです。
「莫大な金を算出していた」と伝えられた場所は奥州の金山を差し、「黄金で出来た宮殿や民家」は、藤原氏が設立した「中尊寺金色堂」を指すと言われています。

「黄金の国ジパング」は、彼自身が訪れた訳でもなく、中国人より聞いた「噂話」を手記に記したことがきっかけだったのです。
しかし、その“噂話”は世界中の人々に夢と希望を与える事となりました。

コロンブスの大航海

あのコロンブスも、黄金の国ジパングの伝説を聞き、奮起した航海士の一人です。
彼は地球球体説を唱えており、「西に進めば東端に辿り着く」としていました。
しかし、彼が想像していたよりも海は広く大きく、結局黄金の国ジパングの地に足を踏み入れることは出来ませんでした。
もちろんコロンブス以外にも黄金の国ジパング目指して大海原へと出港した人は沢山居たでしょう。
このように、マルコ・ポーロが東アジアを冒険し、東方見聞録を作成したことは当時のヨーロッパでは革命的な出来事であり、それは人々の夢を駆り立て、更に学問や地理、様々な部門にも大きな影響を与えたことでしょう。
efb0b2833da558032c1f26937137f8be_s

2.中尊寺金色堂

では最後に、東方見聞録の中で「宮殿や民家は黄金で出来ている」と記されていた部分についてお話しさせて頂きます。
1章でもお話ししたように、黄金の建物は「中尊寺金色堂」の事を指すとされていますが、中尊寺金色堂は一体いつ、誰が建て、そこに使われた金は一体どれ位の量なのかをお話ししていきます。

中尊寺金色堂の歴史

中尊寺金色堂の外観は、金箔等で装飾された阿弥陀堂になります。
場所は岩手県の西磐井郡平泉町の中尊寺にあり、1124年に奥州藤原氏、初代藤原清衡が建立した藤原時代の代表作となります。
藤原清衡が極楽浄土の世界を表現するべく、当時の技術をフル活用し、造らせた建築物となります。
大きさは意外に小さく、平面の1辺が5.5メートル程の小型の仏堂となります。
988350c921707cb690a49674fda561ba_s
阿弥陀堂の中の須弥壇内には、金箔が施された棺があり、その中に藤原家4代のミイラ化した遺体が今でも収められているそうです。
中尊寺金色堂は阿弥陀堂建築でもあり、また、藤原家の遺体を安置する墓堂、廟堂としての役割があったと考えられています。

使われた金の量

中尊寺金色堂の内外装には金箔が施されており、通常の金箔を3倍以上に厚くした物を使用しているとされています。
通常の金箔は金を94.43%、残りの約5%には銀と銅が使われた物を、厚さ約0.0001mmまで伸ばした物質となります。
その量は約15kg、現在の相場で見るとおよそ63,000,000円強程でしょう。

df1b8420f1e28cbfafba3c05ab223403_s

3.まとめ

西洋から、日本の歴史まで幅広くお話しさせて頂きました。
かつては黄金の国と呼ばれた日本、もしかしたら、今もどこかにまだ膨大な金が眠っているかもしれませんね。

SNSでもご購読できます。