今回は指輪のサイズ直しについてその工程と注意点などご紹介したいと思います。
また、外れなくなった指輪の外し方やクリーニングについてもご紹介したいと思います。
サイズ直しの工程
1.リングのサイズを計る
まずはどのサイズに直すのかサイズを計ります。サイズの計り方については前回ブログでご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
2.サイズを小さくしたい方の場合
小さくするサイズに合わせて細い刃で正確に地金を切っていきます(サイズ1号の長さは約1mmです)。
次に指輪を曲げていきます。なるべく円を崩さないように切り口同士を合わせていきます。
このときリングに傷がつかないよう当て布をします。
サイズを小さくする場合は、小さくしたい分だけ切り取り、再び溶接します。
3.サイズを大きくしたい
サイズを大きくする場合は必要な幅分だけ同じ材料を使って付け足します。
地金の金属をプラスし溶接した後、指輪の形に添って削っていきます。
※場合によっては薄く繋ぎ目が残ることもあります。
4.ロウ付(溶接)
合わせ目の部分にロウ(接合用の材料)を置き、地金に均等に熱を加えロウ付けします。
石が付いている場合は融点の低いロウ材を使ってサイズ直しを行います。
※宝石が付いている場合は濡れた布で宝石を包み、熱が伝わらないようにしてください。
5.指輪をならす
ロウ付けを行った後は、木槌と芯金棒で指輪が真円になるように軽く叩いてならします。
強く叩きすぎると。溶接部分が割れてしまったり、裏側が空洞の場合は潰れてしまったりすることもあるので注意しながらならしていきます。
また、ヤスリ掛けをすることにより、溶接部分の繋ぎ目を分かりにくくします。
ヤスリで余分なロウを削り取り、サイズ棒で希望のサイズになっているかを確認しながらならしていきます。
その後磨き棒で磨き、荒めのヤスリから目の細かいヤスリに変更し、磨き上げていきます。
6.バフで光沢を出し洗う・完成
仕上げにバフをかけます。このバフがけで表面の光沢の良し悪しが決まります。
金はプラチナよりも磨きやすいかわりに、細やかなラインや爪等がだれやすいので注意が必要です。
また、ホワイトゴールドはバフがけが難しいのでこれも熟練の技が必要です。
素材や形状、石の有無によっても難易度が変わります。
バフがけまで終わればサイズ直し完成です。
・注意点
<小さいサイズに変更するとき>
結婚指輪や婚約指輪など指輪の内側にメッセージなどが刻まれているものが殆どだと思います。小さくする際に、刻印と被らない場所なら
良いですが、もし、その途中で切断する必要性が出た場合は、一度刻印を消した後再度メッセージを彫る必要が出てきます。
また、模様があったり宝石が付いている場合も同様です。場合によってはサイズ直しの他に追加料金がかかる場合もありますので注意が必要です。
<大きいサイズに変更するとき>
指輪のサイズを大きくする方法として、地金を叩いて伸ばすという方法と、地金を切断してその部分に足すという方法があります。
叩いて伸ばす方法は指輪自体の厚みが薄くなってしまうので、切断して足す方法がおすすめです。
結婚指輪や婚約指輪などは大切な指輪ですので、絶対後悔しないように、希望通りの仕上がりになるようにしっかりと納得がいくまで打ち合わせをすることが重要です。
サイズ直しに必要な日数は、素材やデザインによっても異なり、また、お店によっても異なります。一般的には1週間~10日前後とされています。
難しい物の場合は2,3週間かかる場合もあります。
外れなくなった指輪の外し方
指輪が外れなくなったという経験、ほとんどの方があるのではないでしょうか?
サイズ直しのきっかけにもなるこの経験。では外れなくなったときどうすればいいのか、
その方法をご紹介したいと思います。
1.指のむくみを取る
指先の血管は細く、心臓から離れているためむくみやすい場所です。当然指がむくむと指も太くなるので指輪が外れにくくなります。
むくみを取る方法としては指先から指の付け根にかけて優しく押し、全ての指が終わった後、指の間、手の平・甲と同様にマッサージします。
最後に腕を上げバンザイの状態で手を握ったり、開いたりを、5、6回繰り返します。
その後しばらくしてむくみが取れた状態から指輪を外してみてください。
2.洗剤やオイルを使って取る
指のむくみは取れたけどまだ指輪が外れないという方は、指と指輪の間の余裕が無くなってしまっている可能性が高いです。
潤滑油となる台所用洗剤やオリーブオイル、サラダ油などをなじませ、指輪を回したり、上下に動かしてみてください。
3.リボンや糸を使って取る
1、2どちらを試してもダメという方は指輪のサイズが指の太さよりも小さい可能性が高いです。まずラッピングなどで使用するリボンを用意します。できれば表面がツルツルした素材のものが良いです。
リボンを指先からグルグルとらせん状にややきつめに巻いていき、指輪のところまで巻いたらリボンを指輪の下に通します。その後指輪の下に通したリボンを巻いた方向とは逆の方向に(巻いたリボンを解くように)引っ張ります。
この時、引っ張る力を利用して指輪を指先に向かって徐々に外していきます。
※この際、締め付けによるうっ血に注意が必要です。リボンの代わりにタコ糸でも可能です。
4.最寄りの消防署へ行く
上記の全て試しても無理な方は最寄りの消防署へ行って指輪を切断するしかありません。ご自身でリングカッターを購入し切断されても良いですが、消防署であれば無料でしてくれますし、何より慣れているので安心です。
消防署へ行かれる前に事前に電話で連絡すると良いでしょう。
では最後にご自宅でも簡単にできるジュエリークリーニングについてご紹介したいと思います。
ジュエリーの汚れの原因となるのは汗や油です。女性であれば化粧品なども汚れの原因と
なります。
・準備するもの
中性洗剤、柔らかいタイプの歯ブラシ、タオル、容器
・クリーニング方法
容器にお湯を張り中性洗剤を適量入れます。そこに指輪やネックレスを入れ約30分浸け置きします。
その後、歯ブラシを使って優しく磨きます。ダイヤが付いている場合は慎重に磨いてください。また、ダイヤの裏側に汚れは溜まりやすいので、裏側もしっかりと磨いてください。
磨いた後はきれいな水ですすいでタオルで拭き上げ、しっかり乾かしましょう。
仕上げに繊維の細かいクロスで磨き上げるとより一層綺麗になります。
月に一度のお手入れで綺麗な状態が継続されます。
※この方法ではお手入れができないものもございます。ダイヤモンド以外の宝石が付いている場合はこの方法は適しません。