価値のある翡翠とそうでない翡翠?

翡翠(ヒスイ)と言えば緑色で、カボションカット(半球体)にカットされた石が思い浮かびますね。
実は価値のつく翡翠とそうでないものがあるのはご存知でしょうか。
今回はそんな翡翠について詳しくお話ししていきます。

1.翡翠の由来

翡翠とは川辺に生息する小鳥のカワセミ(羽毛は緑色、腹は赤色、背から尾は青色)のことで、その美しい小鳥の名前が名称の由来となっています。
また、翡は赤を、翠は緑を意味します。

翡翠の種類

翡翠と言うと、かつてはジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の2種類が存在し、どちらも翡翠として扱われていました。
しかし、現在では、ジェダイト(硬玉)の方を「本翡翠」という区分で表します。
ジェダイトは縄文時代から使われていたとも言われます。
では、ジェダイトとネフライトの違いは一体何なのでしょうか。
結論からすると、2種類の大きな違いは鉱物の違いになります。

2.ジェダイト(硬玉)とは

鉱物名 Jadeite:ひすい輝石(硬玉)
色  白~緑、紫、赤など半透明

宝石として価値があるのは、ジェダイトのみとなります。
天然ジェダイトの特徴は、石の中に繊維状組織が絡みあったように見える繊維状組織があることです。
ジェダイトは、縄文時代から珍重されていて、新潟県の糸魚川や青海地方で産出され、加工されたものが大珠や匂玉に加工されて、全国各地に運ばれていました。
しかし奈良時代以降になると、日本の翡翠文化は歴史の表舞台から一度姿を消してしまいます。
その為、昭和初期に糸魚川が翡翠の産地であると確認されるまで、古代の翡翠文化は大陸より伝わった文化であるとされていました。

価値がつくもの

翡翠と言えばやはり緑色を思い浮かべるかと思います。
次によく見る色としてラベンダーや赤があり、評価の対象とされます。
透明度が高く、深く澄んだ色はロウカンと呼ばれ、希少性が高いのです。

処理(人的手段)について

基本的に天然石に人的手段を行うと価値は下がるとされていますが、表面の光沢を高めるために行われるワックス加工のみ値下がりはしません。

3.ネフライト(軟玉)とは

鉱物名 Actinolite:緑閃石
色  緑~暗緑(ジェダイトより鮮やかさに劣る)
黒、白

ネフライトもかつては翡翠として分類されていました。
しかし、外観は翡翠と似ていますが、異なる鉱物になります。

変溶岩の中に見られる単斜角閃石の一種に、緑閃石があります。
緑閃石は柱状、針状等の結晶で産出されますが、緻密な塊になったものをネフライトと呼びます。

ネフライトは軟玉と言われますが、ジェダイト(硬玉)とはそれほど硬度に違いはありません。
どちらも緑色をしており、外観が似ている為、実はそれぞれ別の鉱物であると分かったのは19世紀に入ってからだったのです。
色味としては、ネフライトはやや白みがかった色をしているのに対し、ジェダイトは鮮やかな緑色をしています。

注意点

ネフライトは、「台湾ヒスイ」のように「~ヒスイ」と呼ばれて売られている事が多々あります。
更に、染色やワックス含浸が簡単にできるので、そういった石が市場に大量に出回っているので、大粒のヒスイを購入される際は鑑別書の有無を確かめるなどして十分に注意されてください。

まとめ

翡翠は日本を含む世界各地で道具や武器として用いられて、その後は祭礼用装飾品として崇拝されていました。
中国では少なくとも紀元前2950年前より最も価値のあるものとして、「玉(yu)」と呼んでいたそうです。
死後の体を保護するものと信じられ、何千年も昔の皇帝の墓からも発見されています。
このように翡翠の宝石としての歴史は長く、大昔の人々と現代を生きる私達と、時代を超えて翡翠の美しさを共有している気分ですね。

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