ダイヤモンドは同じカラットでもクラリティやカット、カラーなどによって価格に大幅な差が生まれます。
それだけ宝石としてのダイヤモンドには高い品質を追求しますが、その品質に満たないダイヤモンドはどうなるのでしょうか?
今回は宝石としてではないダイヤモンドの別の顔をご紹介します。
1.ダイヤモンドの選別
ダイヤモンドは最初にある程度の大きさによって選別されます。
いくら品質の良いダイヤモンドでも、カットや研磨を施すことのできない大きさではどうしようもありません。
その次にある程度の品質分けがなされます。
ここで色が黄色過ぎるものやクラリティが悪いものなどは宝石としては使用できません。
2.工業用ダイヤモンドについて
宝石として使用できないとみなされたダイヤモンドは極端に価値が下がります。
価格も安くなるので様々な工業用として利用されます。
ダイヤモンドが工業用として使われる理由
ダイヤモンドは鉱物の中で最も硬く、耐摩耗性に優れています。
そのため、他の鉱物とぶつかっても、傷つきにくく壊れにくいという特徴があります。
また、電気絶縁体であり熱伝導性にも優れています。
このような性質を生かし多くの工業用に使われています。
ダイヤモンドの重要性
近代工業では、「ダイヤモンドの存在がなければ成立しない」というくらい、工業用の用途は多岐にわたっております。
実はダイヤモンドの用途は宝石用よりも工業用がはるかに多く、とても重要であると考えられています。
これは他の宝石にはないダイヤモンドだけの特徴と言えるでしょう。
3.工業用ダイヤモンドの用途
それでは実際にダイヤモンドが宝石用以外で使われているものをいくつかご紹介いたします。
ダイヤモンドカッター
回転する刃の先にダイヤモンドを混ぜて刃の強度を上げています。
混ぜられたダイヤモンドの粒が対象物を切ると言うより削り取っています。
建築現場や工事現場でよく利用されています。
レコード針
レコードの針は繊細な細さが必要とされるだけではなく、数千回の使用にも耐えられる耐摩耗性が重要です。
ダイヤモンドはまさに最適の素材といって良いでしょう。
研磨剤
微粉末にした研磨剤は昔からガラスの彫刻や、他の宝石の研磨に使用されてきました。
光学用のレンズや金属の研磨、超硬合金の精密研磨などにも不可欠な素材となっております。
最近では包丁研ぎ器やお風呂の鏡を磨くスポンジにも使われています。
砥石
半導体やガラス、金属などの加工に使う研削砥石用としての消費が多いです。
主に人工ダイヤモンドが使われており、天然ダイヤモンドは砥石本体を成型する際に使用されます。
ダイヤモンドドリル
歯医者で歯を削る際に使われるドリルの先端にもダイヤモンドが使用されています。
ちなみに、歯のエナメル質はダイヤモンドの次に硬いと言われております。
人工衛星の窓
1978年にアメリカが金星に向けて送り込んだ人工衛星パイオニアの外部観測用の窓にも使用されていました。
極度の高温にも耐えて、計測ができるほどの透明度を持つ唯一の素材がダイヤモンドだったのです。
4.工業用ダイヤモンドの重要性
様々な用途に使われているダイヤモンドですが、この他にも工具や自転車、自動車など数多くの製品の製造にも欠かせません。
テレビや冷蔵庫などの電化製品もダイヤモンドなしでは作れないくらい依存しています。
発掘されたダイヤモンドの中で、宝飾用として使用されるのは2割程度しかありません。
残りの8割は工業用に使われておりますが、これだけではなく人口ダイヤモンドも使用されています。
人口ダイヤモンドは100%工業用にまわされます。
だからこそ、これだけ幅広い分野でダイヤモンドが活用されているのです。
宝石としてのダイヤモンドを持ってない人でも、家庭にダイヤモンドを使った製品がない人はまずいないのではないでしょうか。
それほど身近なものにまでダイヤモンドは使用されています。
このように、ダイヤモンドは今や私たちの生活を支えているといっても過言ではないのです。
ダイヤモンドの価値というものは宝石としてだけではなく、こうした皆様の身近な暮らしの中にも充分にあるのです。