なぜ「金」には価値があるのか?その用途、価値の変遷とは

なぜ「金」には価値があるのか?その用途、価値の変遷とは

現代に生きる私たちにとって金は高価な貴金属であるというのが共通認識です。

では、そもそもなぜ金には価値があるのでしょうか?実際、金には価値が認められるだけの理由があります。今回は、金に価値がある理由としてその用途を解説した上で、金の価値が歴史上どのような変遷を辿ってきたのかを紹介します。

【目次】

私たちの生活に欠かせない「金」とは?

 ・「金」の持つさまざまな用途について

なぜ「金」には価値があるのか?

 ・「金」は有限な資源である

「金」の相場の変遷とは?

 ・近年では上昇傾向にある「金」の相場

金を保持するメリット・デメリット

 ・金の相場がこれから下がる可能性は?

まとめ

私たちの生活に欠かせない「金」とは?

「金」の持つさまざまな用途について

金に価値が認められる1つ目の理由として、他の物質には代え難いさまざまな用途の存在があります。

例えば、現在流通している金の7~8割は装飾用に用いられています。
金の持つ独特の輝きは古代から人々を魅了し続けていて、有名なものではツタンカーメンの黄金のマスクが広く知られています。
金に装飾品としての人気があるのは現代でも変わりません。

また、工業用品としても金は価値があります。
金は展性(薄く広がる特性のこと)と伝導率に優れており、金箔や金糸という形で用いることで、色々なものの保護に役立ちます。

金歯も利用方法の1つです。
口の中は常に濡れた状態にあるため、生半可な金属では錆びてしまいます。
ですが、金は腐食への耐性が強いため錆びることがありません。
また、口の中に金の成分が溶け出すといったことも起こりにくいので安全性も高いとされています。

他にも医療用や食用などの用途があります。
私たちの生活は金なしには成り立たないといっても過言ではないでしょう。
金よりも安価で、完全に代用できる物質が発見されない限り、金は価値を持ち続けます。
さらに、金に価値があるのには、他にも理由があります。

なぜ「金」には価値があるのか?

「金」は有限な資源である

金に価値が認められる2つ目の理由として、金が有限な資源であることが挙げられます。
金が人類にとって有用な物質であることは既に紹介しましたが、金が海岸の砂のように無限に存在するような物質であれば大した価値は持たないでしょう。

では、この地球上に金はどれぐらいあるのでしょうか?

一説によると、金は地球の全てを掘り返しても20m×20m×20mの立方体に収まる量しか存在しないといわれています。東京ドームの容積が124万立方メートルなので、金は東京ドームの1/155しか存在しないことになります。そう考えるとかなり限られた物質なのではないでしょうか。
しかも、このうち3/4は既に採掘済みなのだそうです。では、金はいずれ枯渇してしまうのでしょうか。

アメリカの地質調査所によると、金は毎年3,000トン以上が発掘されていて、このペースが続けば計算上2035年には地球上の全ての金が掘り出されることになります。ですがそのタイミングで金自体が地球から消滅するわけではありません。一見矛盾しているようですが、これには理由があります。

その理由は、金がリサイクル可能な物質だからです。
装飾品や金貨はもちろん、精密機器に使われている金も廃棄時に回収すれば再利用することができます。現在流通している金の15~20%はリサイクルされた金なのだとか。

それでも全ての金が再利用される訳ではないので、人類が利用可能な金は徐々に減っていくのも事実です。
よって金の相場も長い目で見れば少しずつ上昇していくことになると見られています。

さらに詳しく知りたい方はこちら→金にはなぜこれだけの価値があるのか?その歴史、利用法の変遷を知る

「金」の相場の変遷とは?

近年では上昇傾向にある「金」の相場

金は他の物質には代え難い用途があり、有限な資源である…これが金に価値が認められる理由です。
先ほども触れましたが、近年金の相場は基本的に上昇傾向にあります。ここでは、金の相場の変遷を辿ってみましょう。

かつて、金本位制という仕組みにより金の相場は国家によって制御されていました。
これは、金と通貨との交換比率を定めることで通貨の価値を保証しようとした制度です。
しかし、戦争や不況によって貨幣の価値が大きく揺らぐと金の流出が起こることから次第に現在のような変動相場制へと移行していきました。

1971年、アメリカのニクソン大統領によってドルの固定為替から変動相場への移行が宣言されたことで、経済も今のような形に近付きました。
それ以来、金の相場は変動を繰り返しています。

1977年に約1,355円だった1g当たりの国内金価格は1980年の1月に約6,945円という値を付けますが、2000年には約1,036円にまで値を落とします。
これは、株や為替に資金が流れたことで起きた現象といわれています。
それ以降は2017年現在の5,000円前後という相場に向けて順調に価格を向上させています。

金を保持するメリット・デメリット

金の相場がこれから下がる可能性は?

さて、21世紀に入ったあたりからは基本的には価格を安定的に向上させている金ですが、今後もその価格は上がり続けるのでしょうか?
ここでは、投資対象として金を保持するメリットとデメリットを解説します。

まずは、金を保持するメリットです。既に紹介したように、金は人類にとって有益かつ有限な物質のため、高い価値を持ちます。
金は堅実で展望の明るい投資対象として、常に投資としての選択肢に入ります。
実際に相場も近年は安定的な上昇を見せています。0.1%未満という銀行の利率を考えれば、金を保有することで資産の増加を期待する方が多いのもうなずけます。

一方、金を保持するデメリットもあります。
今後、金を海水や海底から効率よく採取する技術が発見されれば、金の希少性が損なわれ、それにより金の相場も下落する可能性はあります。
また、株や為替、仮想通貨などに投資家の関心が流れれば金の相場は下落します。
ただし、2000年以来ではリーマンショックを除き、大きな下落を見せていないのも事実です。

他にも政変や災害、戦争のリスクや為替の変動など金の相場に影響を与える要因は数多く存在しますが、金が安定的な投資対象とみなされている限りは、金の相場の大きな下落を必要以上に危惧する必要はないといえるかもしれません。

さらに詳しく知りたい方はこちら→人類と金の関係・歴史⑤なぜリーマン・ショックで金は売られたのか

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、金に価値がある根拠としてその用途の多彩な点や、地球に存在する金が有限であることを紹介しました。
実際、市場においても金はその価値を認められていて、投資対象としても有望で安定的な投資商品として手堅い人気を集めています。

金の保有にはメリットとデメリットの両方を考えておく必要がありますが、歴史上、金の相場は基本的に上昇傾向にあることは安心材料として捉えることが可能でしょう。

【関連記事】

なぜ今「金」が良いと言われているの?その理由を分かりやすく徹底解説!

金・銀・プラチナ・パラジウムなど「貴金属の特徴と価値について」