ダイヤモンドはカットでさまざまな表情をみせる
- 2018.10.09
- ダイヤモンド

すべての宝石は、美しく磨かれてカットされてこそ、輝きを放ちます。これは、ダイヤモンドにおいても例外ではありません。地中から掘り出されたばかりの原石は、ごつごつとして、輝きも強くありません。しかし、上手くカットされたダイヤモンドの輝きは比肩するものがないほどで、その内部の輝きをもっともよい方法で引き出そうと、昔から、数々のカットやデザインが考案されてきました。
人をひきつけてやまない宝石は、その本来の輝きを最大限に引き出すようにカットが施されています。ここでは、宝石の品質や魅力を決定づける「カット」について解説していきます。
目次[非表示]
- 1.ダイヤモンドの主なカット
- 1.1.ブリリアントカット
- 2.円形、ハート型、長方形型など形もさまざま
- 2.1.1.ペアシェイプ
- 2.2.2.マーキースシェイプ
- 2.3.3.ハートシェイプ
- 2.4.4.プリンセスカット
- 2.5.5.ステップカット
- 3.そもそもなぜダイヤモンドをカットするのか
- 4.用途によって人気のカットや形が違う
- 5.まとめ
ダイヤモンドの主なカット
まずは、現在高い人気を誇るダイヤモンドのカットを説明しましょう。
ブリリアントカット
ダイヤモンドのカットとして最も人気が高く、オーソドックスなものです。婚約指輪に用いられるものとしても一般的ですので、イメージしやすいかもしれません。ブリリアントカットは、ダイヤモンドをもっとも効率的に輝かせるため、光の反射や屈折率などを考慮し、原石を半分以上も研磨して作り上げられています。
58面体のすべての稜線が外周を横切るように計算されているのが特徴で、これによってダイヤモンドの輝きがますます強く印象づけられるのです。「ブリリアント」(輝く)という名前も、宝石の輝きを最大限引き出すという意味で名づけられました。ブリリアントカットが施されたダイヤモンドは、あらゆる面から検査され、グレードをつけられることになります。
円形、ハート型、長方形型など形もさまざま
用途や顧客の嗜好に応えるため、ダイヤモンドのカットや形にもさまざまなものが考案されてきました。ラウンド・ブリリアントカットのような円形、ステップカットのような長方形型などは、目になじんだものでしょう。ここでは、ダイヤモンドのさまざまな形にふれていきます。
1.ペアシェイプ
ペア(洋ナシ)の形を表現したのが、このシェイプカットです。先端を片方だけとがらせることで、そのリングをつけた指先がより美しく見える効果があります。涙のしずくにも似ており、大人らしさの漂うシェイプカットでもあります。
2.マーキースシェイプ
「マーキース(公爵夫人)」の名の通り、ルイ15世の愛妾であるポンパドゥール公爵夫人にちなんで名付けられた優美な雰囲気のあるシェイプです。両側がつんととがっているのが特徴で、クラシカルな魅力にあふれています。
3.ハートシェイプ
ダイヤモンドをハートの形にカットした、ロマンティックなシェイプです。マックルと呼ばれる形状の原石からカットしていきますが、マックル自体の希少性が高く、さらに無駄になる部位が多いため、高価になるのが一般的です。アメリカやヨーロッパの若い女性を中心に人気を集めています。
4.プリンセスカット
プリンセスカットは、ブリリアントカットから派生して開発されました。上から見ると正方形でありながら下側はブリリアントカットが施されており、モザイク模様のように見える、四角く細かなカットが特徴です。1970年以降に登場したという意味では、比較的新しいカットだともいえます。
厚みをもたせた正方形をしており、スタイリッシュで、輝きの強さではステップカットに勝る評価を受けます。気品に満ちた美しさとかわいらしさがあり、まさに「プリンセス」の名にふさわしいカットです。 (※「プリンセスカット」は通称名です)
5.ステップカット
ステップカットでは、そのすべての面が外周と並行に階段状につけられており、「ステップ」(階段)という名前もここからつけられました。素材の良さをいかして、氷のような透明感にあふれた輝きをみせてくれるカットです。そのため、カットのできの良し悪しには、原石そのものの質が大きく影響することになります。
そもそもなぜダイヤモンドをカットするのか
このように、ダイヤモンドやその他の宝石には、さまざまなカットの手法があります。そもそも、なぜ宝石をカットするのかといえば、それぞれの宝石のもつ輝きを最大限に引き出し、その価値を高めるためです。あちこちの鉱山で掘り起された原石には、キズがあったり穴が開いていたりします。また、光をうまく反射させることができず、その原石がもつ本来の輝きを活かすこともできません。
原石をカットすることで、その大きさはもとのサイズの2分の1ほどになってしまうこともありますが、キズや穴といった問題を解消し、光を反射して輝く状態に導くのです。ゴロゴロとした、ただの石だった「原石」を「宝石」にするために欠かせないのが、カットなのです。
用途によって人気のカットや形が違う
これまで見てきたように、カットの種類は非常に豊富です。円形や長方形、ハート型など、そのシェイプからも、顧客の好みやニーズ、そのときどきの用途に応えられるように工夫が凝らされてきました。婚約指輪に用いられるダイヤモンドでは、一般的に、ラウンド・ブリリアントカットが選択されています。永遠の愛を誓う指輪に、ダイヤモンドの美しさを計算しつくした、ぜいたくなカットを施したい……これも、用途に合わせてカットを選択している好例だといえるでしょう。
婚約指輪に使われるダイヤモンドは、クラリティ(透明度)のグレードが、プロでも10倍ルーペでインクルージョンの確認が困難な「VS」クラス以上のものが多数です。クラリティのグレードが高いダイヤモンドで理想となるカットは、光を内部で全反射するもの。こういう意味でも、ラウンド・ブリリアントカットが最適なのです。婚約指輪を選ぶに際して、どのカットを選ぼうかと迷っておられる場合は、ラウンド・ブリリアントカットをおすすめします。
まとめ
ダイヤモンドの原石をいかにカットするかによって、ダイヤモンドはさまざまな輝きを放ちます。ここでご紹介したダイヤモンドのカットやシェイプの数々も、これまでの長い歴史の中で生み出されたもの。原石の魅力を最大限に引き出し、人々を魅了する宝石に変えるのが、カットであり、カットの技術を磨いてきた職人たちです。
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