輝きを持つ前のダイヤモンド原石はどんな石なのか?

輝きを持つ前のダイヤモンド原石はどんな石なのか?

その輝きで人を魅了してやまない宝石・ダイヤモンド。美しくカットされた姿は、まさに「永遠の輝き」を放っています。しかし、私たちが目にするのは、原石から加工されたもの。ダイヤモンドの原石とは、どういったものなのでしょうか。ここでは、宝石店などで目にするジュエリーになる前の、ダイヤモンドの原石についてご説明しましょう。

目次[非表示]

  1. 1.原石はカット・研磨されて初めて輝く宝石になる
  2. 2.ダイヤモンドの原石の種類
    1. 2.1.1.ソーヤブル(正八面体の原石)
    2. 2.2.2.メイカブル
    3. 2.3.3.ニアー・ジェム
  3. 3.ダイヤモンドの原石は5項目で評価される
    1. 3.1.1.サイズ(大きさ)
    2. 3.2.2.トランスペアレンシー(透明度)
    3. 3.3.3.カラー(色)
    4. 3.4.4.シェイプ(形状)
    5. 3.5.5.インクルージョン(内包物)
  4. 4.世界最大級の原石の価格は1109カラット=7000万ドル!
  5. 5.まとめ

原石はカット・研磨されて初めて輝く宝石になる

私たちがダイヤモンドに憧れ、ダイヤモンドを手にすることを望んでやまないのは、その輝きゆえ。宝石店では、リングやネックレス、イヤリング、ピアスなどに加工されたダイヤモンドが並び、宝石の王者として、輝きを放っています。しかし、そうしたダイヤモンドはすべて、原石を精密に計算された方法でカットしたもの。人の手が入る前の原石を、「ラフダイヤモンド(Rough  Diamond)」といいます。

ラフダイヤモンドとは、採掘されたままの自然なダイヤモンドのことで、形も色もさまざま。そうした原石をカット・研磨して初めて、私たちの憧れるダイヤモンドの姿になっていくのです。しかし、どれほど見事な技術でカットを仕上げたとしても、美しく輝くかどうかは、ラフダイヤモンドの質次第。ダイヤモンドの価値は原石で決まる……そういっても、過言ではないでしょう。

ダイヤモンドの原石の種類

ダイヤモンドの価値を決めることになる原石。しかし、原石を見つける作業は、容易なものではりあません。まずは、内部にダイヤモンドを含む石を掘り出すところから始まり、それをカットして原石を見つけ出していくのです。多くの手間暇と時間をかけて、やっと1カラットにも満たない原石が見つかるということも少なくありません。こうして掘り出す原石には、いくつかの種類があります。宝石用には大きく3種類ありますので、ここでご紹介しましょう。

1.ソーヤブル(正八面体の原石)

ナミビアやロシアの鉱山から掘り出されることが多く、宝石に加工される原石の約2割に過ぎません。非常に価値の高いもので、2つのピラミッドの底面を合わせたようなかたちが特徴です。このソーヤブルをカットしたり研磨したりする際は、無駄がでにくく、思うようなかたちになりやすいといわれています。一般的には、1つの原石から2つのダイヤモンドを研磨していきます。この際、重量を残すことを第一に考えると、カットが乱れ、価値をそこねることにつながりかねません。

2.メイカブル

Makeable(作ることができる)という名前の通り、それぞれの原石のかたちに合わせてカット・研磨されることが多い原石のことで、形が不規則だったりゴツゴツとしていたりします。ダイヤモンドのレベルとしては中級ですが、仕上げが進むにつれ、大きな輝きを放つハイレベルなものが掘り出されることも。高いレベルでの加工が求められます。

3.ニアー・ジェム

これら3種類の中では、もっともレベルが低い原石。宝石用であるものの、亀裂があったり、黒点があったりと、工業用に近い品質だともいえます。ソーヤブルやメイカブルに比べて約3倍もの研磨時間が必要だとされていますが、それだけの手間暇をかけても、ソーヤブルやメイカブルの輝きにはかないません。価格はソーヤブルの数十分の一で、リーズナブルなアクセサリーの一部として用いられることになります。

ダイヤモンドの原石は5項目で評価される

ダイヤモンドの原石の価値を見分けるのはとても難しいこと。ダイヤモンドの専門家の経験値に頼る部分が少なくありません。2つとして同じものがないダイヤモンドの価値を正確に見定めるため、5つの項目が設けられています。それぞれについて簡単にご説明しましょう。

1.サイズ(大きさ)

まず原石の価値は、その大きさで左右されます。大きな原石は価値が高く、希少です。原石のサイズで「10.8カラット」以上あるものは、研磨したのちに5カラットのダイヤモンドになる可能性がある特別なもの。ダイヤモンド全体の産出量のうち、1%ほどしかありません。全体の12%をしめるのが、約2カラットのダイヤモンドができるサイズです。

2.トランスペアレンシー(透明度)

サイズ分けされたあと、宝石用と工業用に分別する基準が、透明度です。透明度に欠けた原石は、工業用に分類されます。透明度の高いものが宝石用として選別され、さらにソーヤブル、メイカブル、ニアー・ジェムに分類されることになるのです。

3.カラー(色)

高い透明度を誇る宝石用のダイヤモンドが、そのカラーでさらに分類されることになります。「無色」「わずかな色味」「薄い色味」の3段階があり、無色に近ければ近いほど高い価値を有することに。「無色」には、「薄い色味」の2倍以上の価値がつけられます。色味が偏っている原石もあり、のちのちの作業で色味のある部位を削り落とすこともあります。

4.シェイプ(形状)

八面体の形状をした原石の場合、ラウンドシェイプやプリンセスカットに仕上げられます。細長い形状や深さのない原石からはペアーシェイプ、ハートシェイプ、マーキスカットやエメラルドカットなどが作られます。この際、ソーヤブルとメイカブルを比較すると、ソーヤブルのほうが相対的にきれいに仕上がることが多いのは、結晶の成長が素直だからだといわれています。ソーヤブルがメイカブルの3~4割価格が高いのは、このためです。

5.インクルージョン(内包物)

自然が作り出すダイヤモンドの原石は、そのほとんどにグレッツ(表面のヒビや亀裂)やブラックインクルージョン(黒いキズ)、クラウド(曇り)などがあります。こうした問題がないものは、全体の1%ほどに過ぎません。グレッツがあると、研磨やソーイングの際に割れやすくなります。また、外観を損なうことになるため、グレッツをそのまま残すことはしません。かりに、大きな原石を掘り出したとしても、グレッツがその中心にあれば、切断するしかないのです。

また、ブラックインクルージョンなども、可能な限り研磨して取り除くべき存在です。クラウドは、透明度や仕上がりの良し悪しに大きな影響を与える内部の曇りのこと。ただし、10倍に拡大しても確認できないようなクラウドは、鑑定書に反映されません。

世界最大級の原石の価格は1109カラット=7000万ドル!

2016年、サザビーのオークションに出品された巨大なダイヤモンドが話題をさらいました。そのダイヤモンドは、1109カラットもの大きさを誇ります。なんとテニスボールほどの大きさ!この巨大なダイヤモンドをアフリカ南部のボツワナで発見したのは、カナダの探鉱会社ルカラダイヤモンド。ボツワナの言葉で「わたしたちの輝き」と名付けられたこのダイヤモンドは、この100年間に発見されたダイヤモンドとして世界最大級です。

ルカラダイヤモンドはこのダイヤモンドの価格を7000万ドル以上としましたが、このオークションでは買い手がつきませんでした。この背景には、現在のテクノロジーでは1000カラットを超えるダイヤモンドの原石を正確に分析できず、最終的にどのような価格がふさわしいのかを判断できないといった事情があります。さらに、あまりに巨大で原石のリサーチと加工に膨大な時間がかかることもネックでした。

今後は、このような巨大なダイヤモンドの原石が発掘されるケースが増えるものと見込まれています。これは、ダイヤモンド発掘現場における技術が進歩しているから。こうした発掘技術がさらに向上し、これまでに見つからなかったような巨大な原石が発掘される可能性も否定できません。

まとめ

ここでは、一般にはなかなか目にすることのないダイヤモンドの原石について、さまざまな角度からご紹介しました。ダイヤモンドの原石がその輝きを放つのは、さまざまな加工を経てのこと。しかし、原石に潜む輝きそのものがなければ、価値も生まれません。原石の価値を正しく理解することも、ダイヤモンドを購入する際に必要なことです。