金の盗難品を買ってしまった!持ち主への返還義務や確認方法について
- 2018.12.07
- 金の基礎知識

貴金属の買取を行っている店舗には金貨や地金など、金が頻繁に持ち込まれます。
ただ、金製品には盗難品かもしれないというリスクがあります。
万が一、盗難品の金を買い取ってしまった場合に、返還の義務があるかどうかという点は、店を経営する人であれば理解をしておくことが大切です。
また、盗難品が持ち込まれるリスクが避けられない金の買取も、正しい対処法を知っていれば、安心して店を経営できます。
今回は、金の盗難品を買い取りしてしまった場合の対処法や、盗難品の買取をしないための確認方法、買取をしてしまった場合の返還義務などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.買い取った金が盗難品だった!対処法を紹介
- 1.1.警察に通報する
- 1.2.買取手続き後に判明したら
- 1.3.売却した顧客に代金返還を求める
- 2.買い取った金が盗難品かを確認する方法は?
- 2.1.シリアルナンバーを確認
- 2.2.外観の特徴で見分ける
- 3.買い取った金が盗難品だった!持ち主への返還義務は?
- 3.1.持ち主への返還義務
- 3.2.返還義務をなくす方法
- 4.金の盗難品を買い取らないための対策
- 4.1.本人確認を行う
- 4.2.警察からの「品触れ」を確認する
- 4.3.盗難情報センターに情報を照合
- 5.まとめ
買い取った金が盗難品だった!対処法を紹介
買取をした金が盗難品であると、分かった時点でいくつか対処しなければならないことがあります。万が一、盗難品の金の買取をしてしまったときに、どのような対応を取る必要があるのかについて、ここでは解説していきます。
警察に通報する
買取で仕入れた金製品が盗難品だと判明した場合には、当然のことながら警察に通報しなければなりません。
盗まれた品だと断言できない場合でも、盗難品の疑いがあると判断した時点で、できるだけ早く警察に連絡するのが得策です。
実際に、不正品の疑いがあると認めたら警察に申告しなければならないという義務に関する規定が、古物営業法に明記されています。
引用:古物営業法第15条第3項
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。
この申告義務に違反した場合には、営業停止といった行政処分が下される可能性があるので注意が必要です。
店側の対応に不備があると、警察の捜査を経て盗難品だと確認された金を元の持ち主に返さなければならないケースもあります。
営業停止処分を受けてしまうと、店の経営にも大きな打撃となることから、盗難品には細心の注意を図る必要があるでしょう。
買取手続き後に判明したら
金の実物を見ただけでは、盗難品を見破るのが難しいため、買い取ってしまった後に警察から盗難品に関する情報が寄せられ、初めて気がつくというケースも珍しくありません。
この場合でも、買い取った品のなかに盗難品が含まれている可能性があることを警察に報告し、可能な限り捜査に協力する必要があります。
売却した顧客に代金返還を求める
買取店舗によっては、盗難品や偽物だと判明した後に買取をキャンセルし、売却した顧客に対して、代金返還を求めるケースがあります。
代金を返還してもらうためには売却した顧客としっかり連絡が取れるようにしておく必要があります。
買い取った金が盗難品かを確認する方法は?
買取をした金が盗難品だった場合は、再販売できなくなるだけでなく、警察への申告業務など多大な労力も発生してしまいます。
金の買取手続きを完了して、代金を買取客に渡してしまった後に盗難品だと気づいた場合には、前述のような返還請求などの手間も生じてきます。
そうした手間を避けるためにも、査定の段階で盗難品かどうかを確認できるようにしましょう。
ここからは、買取をしようと金が盗難品かどうかを見極める方法についていくつか説明していきます。
シリアルナンバーを確認
近隣の地域で盗難被害が発生した際には、警察から紛失品や盗品などの特徴を書いた「品触れ」と呼ばれる盗難情報が買取店舗に送付されます。
品触れに書かれている金のシリアルナンバーと、持ち込まれた店で査定しようとしている金の番号が一致すれば盗難品と確認できます。
このシリアルナンバーは、商品を管理するのが目的で、金の1つ1つに固有の番号が与えられているため重複がありません。
金の所有者も、万が一の盗難に備えてシリアルナンバーを控えているのが一般的です。
そのため、警察に盗難届を出す際にも、シリアルナンバーを提供して捜査の役に立てるようにしています。
外観の特徴で見分ける
インゴットや金貨のなかにはこすれて番号が読み取れなくなっている製品もあります。
その場合は、外観の特徴といった情報を頼りに判断するしかありません。
盗難品の外観の特徴に関する情報は、前述した「品触れ」にも記述されています。
また、盗難品の不正な流通を防ぐための情報共有サービス「盗難情報センター」にも、外観の特徴は多く寄せられています。
近隣地域だけでなく、広域での盗難品の外観の特徴を知るには、盗難情報センターに寄せられた情報と照合するといいでしょう。
買い取った金が盗難品だった!持ち主への返還義務は?
盗難品である金は、元の持ち主がいます。
盗難品の金を買い取ってしまった場合、店側に持ち主への返還義務はあるのでしょうか?
また、返還義務が保障される方法はあるのでしょうか。
ここからは、盗難品の金を持ち主へ変換する義務があるのか、返還義務をなくす方法があるのかについて解説していきます。
持ち主への返還義務
盗難品だと知っていながら、金を買い取った場合は、古物の所有権が得られないため、持ち主に無償で返還する義務が生じます。
また、盗難品の疑いがあると知っていながら金を買い取り、保管や転売を行った場合は、古物商も損害賠償の対象となる可能性が出てきます。
そのため、「盗難品の金を買い取ってもバレないだろう」と考えるのは禁物です。
明らかに挙動が怪しい客や、未成年の客から金を買い取った場合は、「注意していれば盗難品と気づいた」と判断されます。
このような場合、金の持ち主に無償で返還する義務が課せられる可能性が高くなります。
返還義務をなくす方法
一方、どれほど注意していても盗難品だと見分けるのが困難なほど、店頭で巧妙に立ち回る客も少なくないものです。盗難品だと知らずに店頭で買い取ってしまった場合は、金の所有権が店側にあると認められます。その場合、持ち主から返還請求がなされても応じる必要はありません。
ただし、店頭での対面で金の買取をせずに、古物市場や他の買取店舗から金を仕入れた場合は、話が違ってきます。
この場合は、盗難から1年以内なら、金製品を無償で持ち主に返還しなければなりません。盗難から1年以上2年以内であれば、持ち主に購入代金を弁償してもらった上で、返還する義務が生じます。
盗難から2年以上経過している場合や、すでに売却したりしている場合は、返還や賠償の義務がありません。
店頭での買取以外の方法で金を仕入れる際には、以上のようなリスクを考慮に入れて信頼できる仕入先を選ぶことが重要になってきます。
金の盗難品を買い取らないための対策
盗難品の金をうっかり買い取ってしまうと、通常業務以外のところで余計な労力が発生し、店舗の経営にも大きなマイナスとなります。
この事態を可能な限り回避するには、買取の査定を行う段階で製品をしっかりチェックして、盗難品を買い取らないようにする対策が不可欠です。
ここからは、盗難品の金を買い取らないための対策について解説していきます。
本人確認を行う
中古品や貴金属類の買取を行う店では常識となっていますが、買取の際には本人確認をしっかりと行うという基本がまず重要になってきます。
本人確認に使われる書類は、運転免許証・パスポートなど、本人だと確実に確認できる顔写真付き証明書の提示を求めるのが一般的です。その上で買取客と金製品との関係に不自然な点はないかどうか、挙動に不審なところはないかという点を見逃さないようによく観察することが肝要です。
警察からの「品触れ」を確認する
警察から盗難品の「品触れ」があった場合には書類にその都度しっかりと目を通し、過去半年程度までに発行された「品触れ」についても書類を保管しながら内容を常に把握しておく必要があります。
新たに発行された品触れのなかにインゴットや金貨などの金製品が含まれていたら、自分の店に盗難品が持ち込まれる場面を想定して確認することが大切です。
盗難情報センターに情報を照合
警察の「品触れ」に加えて、盗難情報センターに寄せられている全国の盗難情報と照合すれば、金の盗難品対策もより万全です。
従業員を雇用している店舗では、以上のような対策を従業員一人ひとりに徹底させていれば、窃盗常習犯に対しても、盗難品を持ち込みにくい店だという印象を与えられます。
まとめ
金買取の経営において、盗難品の金を買い取りしてしまうという被害を受ける可能性はゼロではありません。そのため、盗難品の金と判明した際は正しい対処を取るようにしましょう。
さまざまな盗難品情報を元に、盗難品の金を見分けられるようになれば、買取の安全性も上がります。金の買取の際は、盗難品かどうか調べる癖をつけ、対策をしていきましょう。
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