金相場の予測に役立つ「テクニカル(チャート)分析」って?
- 2018.11.27
- 金相場

金をはじめ、投資においては「先物取引」がしばしば行われます。先物取引とは、将来の売買価格や数量などを約束し、約束した日がきたら実際に売買を行う取引のことです。
金のように価格が変動する商品の場合、先物取引では売買時の価値を予測してから取引をすることが重要です。
そんなときに役に立つのが「テクニカル(チャート)分析」です。
テクニカル分析は先物取引をするうえでとても役立つ手段になりますが、言葉は知っていてもその概念や分析方法については知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、金の先物取引に欠かせないテクニカル分析について、概要や分析の流れを解説します。
目次[非表示]
- 1.金の相場を先読み!テクニカル分析のメリット
- 1.1.信頼性の高い予測が立てられる
- 1.2.投資家心理を利用できる
- 1.3.視覚的にわかりやすい
- 2.トレンド系で、市場の「流れ」を見よう
- 3.オシレーター系で市場の「熱」を見よう
- 4.買取価格を判断するのにはトレンド理解も重要
- 5.まとめ
金の相場を先読み!テクニカル分析のメリット
まずはテクニカル分析の概要や考え方から知っていきましょう。
テクニカル分析とは、過去の取引・相場データをもとに、今後の動きを予測するという分析方法です。
今の相場動向と類似したデータを過去から探し、その傾向から今後の動きとして可能性の高いものを算出してくれます。
このときに見るのは金の価格だけでなく、売買の合計額や相場変動のサイクルなども含まれます。株やFX(外国為替証拠金取引)などでも用いられますが、金の相場についても有効です。
ここからは、テクニカル分析による具体的なメリットを3つ挙げ、解説していきます。
信頼性の高い予測が立てられる
金の相場は国際情勢や経済動向に大きく左右されます。
ただ、情勢への印象や景気の良し悪しは、個人の主観や立場によっても変わる非常にあいまいなものです。
テクニカル分析では「過去のデータ」をもとに今後の動きを予測していきます。どの視点から見ても過去のデータは変わることがなく、ある意味「機械的」に類似したチャートを探すため、その分信頼性の高い正確な予測ができるでしょう。
投資家心理を利用できる
投資を行う際に、ある程度自分に制限を設ける人は多いでしょう。
「この金額になったら売却しよう」「この金額になったら買い増しをしよう」など、売買のタイミングを計ります。
過去のチャートには、そのような投資家心理も反映されています。そのため、金の価格や景気だけでなく、人間の心を読み取った取引も可能になってくるのです。
視覚的にわかりやすい
テクニカル分析のチャートと、現在の動きを表すチャートを重ねれば、過去の類似データと現在の動きを視覚的に比較しやすくなります。
「わかりやすい」というのは投資において非常に大切なことで、売却や購入のタイミングを明確にすることにも役立ちます。
例えば、過去のチャートと現在の動きが重なったタイミングで売るなど、判断をする後押しにもなってくれるでしょう。
トレンド系で、市場の「流れ」を見よう
テクニカル分析には「トレンド系」と「オシレーター系」、2つの指標を使った分析方法が存在します。
トレンド系とは、相場の状況を見て金の価格が上昇する局面にあるか、下降する局面にあるかなど、今後の動きを判断するものです。トレンド系の指標には次のようなものがあります。
移動平均線
移動平均線とはある一定の期間の平均値を割り出す指標です。
一定の期間には5日、25日や13週や26週などがあります。
もっとも代表的な指標で多くの投資家が利用しています。
平均足
平均足も移動平均線と同じように平均値を割り出す指標ですが、平均足の始値が、前の期間の始値と終値の平均から始まっている点で異なります。
移動平均線よりもトレンドがわかりやすいというメリットがあります。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、現在の価格が平均値よりどれだけ離れているかを分析する指標です。移動平均線を中心に「±1σ(シグマ)」「±2σ(シグマ)」「±3σ(シグマ)」と合計6個の線が並び、価格相場の推移を予想します。
現在の価格が離れていた場合に、買いのトレンドか売りのトレンドかを分析することができるので売買に役立てることができます。
一目均衡表
相場には買い手と売り手がいて、それぞれが取引をすることによって価格が動きますが、その取引のバランスが崩れたときを教えてくれるのが一目均衡表です。
買い手と売り手が拮抗しているときには「雲」という表現を使いますが、その雲から上に抜けたり、下に抜けたりして明らかなトレンドの動きが変化したことを確認できる指標です。
オシレーター系で市場の「熱」を見よう
オシレーター系とは、過去のデータを分析して、現在の状況が「買われすぎている」か「売られすぎている」かを判断する方法です。
指標を用いるときは1つの指標を使うのではなく、いくつかの指標を用いて分析するとより金の現在の相場を明確にしやすいので、自分にあった指標をいくつか選んで金相場に参加するようにしましょう。
オシレーター系の指標には次のようなものがあります。
RSI
RSIとはある期間の金相場を分析し、どれくらい金の価格が上昇したかもしくは下落したかを計算します。それによって買われすぎたか、売られすぎたかを判断します。
あまりにも金が売られすぎると、投資家は「そろそろ買う人も現れるだろう」と考えます。
RSIはそうした投資家心理を利用しています。
ストキャスティクス
ストキャスティクスもRSIと同じように、過去の金の価格を分析して買われすぎの状況か、売られすぎの状況下を判別します。
RSIの場合は、過去の相場記録をゾーンで表示するのに対して、ストキャスティクスは2本の線を使って表示します。
MACD
MACDとは移動平均収束拡散法ともいわれ、MACDで使用する平均値は、直近の期間の値に比重が高くなるような計算をしています。
その計算値と、計算値を単純に平均化したシグナルという値を用いて買いなのか、売りなのかのサインを出します。
買取価格を判断するのにはトレンド理解も重要
金は、株式や通貨と違い世界共通で一定の価値を持つものです。
一方で、株価や通貨は、会社が大きくなったり国力が向上したりすることによって価値が上がることもありますが、金にはそうしたことは起こりません。
世界全体の動きに非常に影響されやすいものなのです。
これまで数々のメリットをお伝えしてきましたが、テクニカル分析だけを見て売り買いの判断をしてしまうと、膨大な量の過去のデータから、あまり気にする必要のない動きに注目してしまったり、実際の情勢にマッチしていない判断を下してしまったりと、損失を出してしまうこともあります。
常に世界情勢、経済の動きに注意を配り、そのうえでテクニカル分析を活用することで、よりタイミングに合った、正確性の高い予測が可能になるのです。
現在の市場動向、自身の判断、過去のデータ、すべてを材料にして金投資を行っていきましょう。
まとめ
トレンドを十分に理解していれば現在の金の買取価格が適正かどうかを判断する手助けになります。将来の買取・売却価格を想定するときに、より正確な予測ができるようになるでしょう。
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