人類と金の関係・歴史②ヨーロッパより古い、古代インカ帝国の黄金の歴史
- 2018.03.02
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人類と金の関係・歴史をご紹介する第二回では、13世紀から16世紀にかけて南アメリカで一大勢力を築いていた古代インカ帝国の黄金の歴史をお話したいと思います。
古代エジプトと並んで黄金の国というイメージを持たれる、古代インカ帝国の黄金伝説とはどのようなものだったのでしょうか?
【目次】
・まとめ
古代インカ帝国はどこにあったのか?
ペルーのマチュピチュ遺跡が有名
古代インカ帝国は南アメリカに存在した、という事は多くの人がご存知かと思います。
しかし、具体的に南アメリカのどの辺りにあったかまではわからない方が多いかもしれません。
古代インカ帝国は現在のペルー、ボリビア、エクアドルにかけて存在していた国で、その首都は標高3,400メートルにあるクスコという都市でした。
ペルーにある世界遺産のマチュピチュ遺跡は古代インカ帝国の遺跡として有名です。
当時は神をまつる神殿があったと推測されています。
なぜ推測の域に留まっているのかですが、古代インカ帝国は文字を持たない社会であり、当時の記録が文字という形で残されていないためです。
マチュピチュ遺跡の存在は新・世界七不思議の一つとして今でも謎のままです。
古代インカ帝国の黄金伝説とは?
ヨーロッパよりも古い金細工の技術
古代インカ帝国がアンデス文明の流れを受け継ぐ高い技術を持っていたとされる分野が、石造建築、農耕栽培、そして、金加工技術をはじめとする工芸でした。
金加工技術は当時の世界最高水準にあったといわれていて、今でもそれを証明するような多くの遺品が残されています。
例えば、毛織物の衣服に3,000個以上の金の小さな薄い板を縫い付けた繊細な装飾品や、人間の形をした巨大な金の容器など、当時の文明では説明の付かないような高い技術が用いられた遺品が存在します。
この地では紀元前500年頃から金細工の技術が発明されたといわれていますが、これはヨーロッパよりも古く、世界で最も早く金の加工に取り組んだ文明と言われています。
古代インカ帝国にはトータルで10万トン以上の金が集積されていたとも言われていて、古代インカ帝国=黄金の国ということを裏付ける資料は随所に見ることができます。
古代インカ帝国はなぜ侵略されたのか?
スペインの軍人、フランシスコ・ピサロ
1526年、スペインのコンキスタドール(征服者)がフランシスコ・ピサロ兄弟に率いられパナマから古代インカ帝国にまで到達したことにより、この地に豊かな黄金が眠っていることが知られました。
それから5年後の1531年、ピサロは再びこの地を訪れ古代インカ帝国への侵略を開始したのです。
狙いがその豊かな黄金であったのは言うまでもありません。
ピサロの軍勢は168人の兵士と大砲が1門、馬が27頭と僅かなものでした。
しかし、最終的に古代インカ帝国は破れ、滅ぼされてしまいます。その理由は、古代インカ帝国は金細工の技術は発達していたものの、鉄を加工する技術はなかったからと言われています。
他にも国内で内戦が起こっていたことや、天然痘の大流行により国力を落としていたのも主たる原因と言われています。
金によって国家を発展させてきた古代インカ帝国が、その金に目を付けた外国によって征服されてしまうという点には、歴史の面白さを感じてしまいますね。
もう一つの黄金伝説、「エル・ドラド」とは?
「黄金郷」は本当に存在したのか?
古代インカ帝国のあった南アメリカにはもう一つ、「エル・ドラド(黄金の人)」という黄金伝説が残されています。
「エル・ドラド」が住む黄金郷があるとされているのは、コロンビアの首都ボゴタから北へ数十キロメートルの場所にある湖です。
この地に住む部族には、首長が金粉を全身に塗り儀式を行うという風習がありました。
この噂を聞いたスペインのコンキスタドールによって黄金郷の存在が流布されました。
実際、16世紀から18世紀にかけて世界地図に黄金郷の在り処が記載されるなど、当時ヨーロッパ人の間では本当に「エル・ドラド」が存在すると信じられていたようです。
「エル・ドラド」が存在するかも知れないと思わせる資料は他にもあります。
古代インカ帝国を滅亡させたピサロの率いる船団には盗賊の一味が居たといわれています。
その盗賊たちが金銀財宝を積んだ船をどこかに沈めて隠したのだそうです。
その後盗賊たちは捕まったものの、結局その船をどこに沈めたのかは分からずじまい、という言い伝えがあります。
もしかしたら、今でも本当に地球のどこかで「エル・ドラド」の住む黄金郷が存在しているのかも知れませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、南アメリカの古代インカ帝国と金にまつわる歴史やエピソードを紹介しました。
金によって発展してきた国が、金のために滅ぼされてしまうという話には歴史の深さを感じてしまいます。
また、「エル・ドラド」の伝説が今でも眠っている話などは、金に興味がある方でしたら知っておいて損はないかもしれません。
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